代表世話人より

 

 加速器科学研究発表会は1975年に第1回が開催されて以来,約2年毎に1回定期的に 開催されてきました.毎回,3日間にわたり,招待講演,特別講演,一般講演,ポスター発表 が行なわれ,国内の大学,国公立研究機関(特殊法人及び独立行政法人を含む),及び, 民間企業の,加速器科学の研究者及び技術者を中心に,300名を越える参加者を得て, 盛会に執り行なわれてきました.
 加速器科学研究発表会では,加速器科学に関連する物理や技術の招待講演や特別講演を
始めとして, 加速器現状報告,粒子源,高周波,高電圧,真空,電磁石,超伝導, 新しい 加速技術,ビーム技術,運転技術,制御,軌道解析,放射線防護,ビーム応用技術,シンクロ トロン放射,将来計画,等々の,加速器科学に関するあらゆる分野の研究発表を対象として おります.
 このように,加速器科学は多岐にわたる分野からなり,国内では,その分野毎の研究会や シンポジウムあるいはワークショップが個別に開催されておりますが,加速器科学研究発表 会は,あらゆる分野を横断的に網羅した国内で唯一の研究発表の場であります.従って, 類似した分野の研究交流や情報交換の場であることはもちろんのこと,日頃交流の少ない, 異なる分野の研究交流や情報交換を行って頂ける場でもあります.
 また,研究発表会会場では,時間の制約等により,不十分であった,質疑応答や研究 交流や情報交換を補って頂く場として,懇親会を設けております.
  さらには,国内の加速器科学の今後の益々の発展を目指し,前回の第12回加速器科学 研究発表会から,奨励の意味で若手研究者・技術者の論文を重視した,「加速器科学研究 発表会論文賞」を設けております.この2年間に発表された論文あるいは今回の加速器 科学研究発表会での発表論文で,推薦あるいは応募のあった論文のうち,特に優秀な 論文を選考し,論文賞を贈呈し,受賞者には特別講演をお願いしております.
  ところで,加速器科学の発展は,最先端の技術に支えられており,民間企業が活発に 展開されている優れた加速器科学関連の事業抜きに語ることはできません.そのような 民間企業の事業を参加者に広く知らしめるため,企業展示のブースを設けます.
 また,最近,民間企業や個人で協賛を申し出られた例があり,今回,そうした協賛を お受けすることになりました.なお,協賛を申し出られた民間企業に対しては, パンフレット展示コーナーを設け,その事業を周知させる一助とします.
 さて,加速器科学研究発表会では,報告集が研究発表会当日に参加者に手渡され, 質疑応答や研究交流あるいは情報交換の質を高めていることは広く知られております. 今回も,当日に報告集を手渡します.そのため,報告集の原稿の提出締め切り日は, 研究発表会開催日の一か月半以上前とします.
 今回の加速器科学研究発表会においても,これまでと同じく,プログラム委員会を 設けません.プログラムは,発表申し込み書に記入された希望発表方法に基づいて 事務局(その構成については後述しますので,それを参照下さい)で立案し,さらに, 必要に応じて,発表者との調整を行った後,成案を作成して世話人会に諮り,その承認を 受けて,最終案として決定します. 加速器科学研究発表会は「加速器同好会」が主催 しておりますが,その会員の多くが集まることができる場は,研究発表会開催期間中を おいて他にありません.今後の益々の発展を議論する場として,「加速器同好会総会」を, 研究発表会開催期間中に, 開催します.なお,研究発表会当日は,新会員申し込みや 会費支払いのデスクを設けますので,ご利用下さい.
 今回の加速器科学研究発表会の代表世話人の任には,34名の世話人を代表して, 佐藤健次(大阪大学核物理研究センター)があたります.また,事務局の任には, 「大阪大学核物理研究センター」及び「大阪大学産業科学研究所附属放射線実験所」の 有志があたり,事務局長の任には,二宮史郎(大阪大学核物理研究センター)が あたります.皆さんのご支援とご協力をよろしくお願い申し上げます.

最後に,代表世話人から,ご挨拶を一言

 2001年(平成13年)は,大阪大学創立70周年にあたり,また,大阪大学核物理 研究センター設立30周年にあたる,記念すべき年であります.大阪大学は当初理学部 と医学部とで創設され,初代総長に長岡半太郎博士(原子の土星模型を提唱した 物理学者),理学部物理学科初代教室主任に八木秀次博士(八木ー宇田アンテナの 発明者)を迎え,最先端の研究が行なわれました.理学部では,1932年に ローレンス博士が発明したサイクロトロンを,僅か5年遅れの1937年に,東の 理化学研究所と並び,時を同じくして,菊池正士博士(東京大学原子核研究所 初代所長)が完成させました.そして,その後,数多くの原子核物理学や加速器 物理学の研究者を輩出し,成果を挙げました.
 「日本は昔加速器で元気だった」わけですが,2001年という新世紀の始まり にあたり,国内では,RIビームファクトリーや統合計画の大型加速器プロジェクトの 予算が認められ,「日本は現在加速器で元気である」と思います.このように元気一杯 の新世紀の初年度で,しかも,大阪大学と核物理研究センターにとって記念すべき年に 開催される「第13回加速器科学研究発表会」の代表世話人を仰せつかっただけに, 是非とも,それを成功に導きたいと思います.そのためには, 皆さんのご支援と ご協力が必要であり,もちろん,最大のご支援とご協力は「第1回加速器科学研究 発表会」への参加と発表であります.目標は350人です.万難を排しての参加と 発表のほど,心から,よろしくお願い申し上げます.
 なお,研究発表会では,「日本は昔加速器で元気だった」話から始まる「日本の 加速器の歴史(仮題)」の招待講演や,懇親会では,最近公開された,戦争直後の 「サイクロトロンの破壊」のビデオや,戦後の「阪大サイクロトロンの建設」のビデオの 放映を企画しております.皆さんには,研究発表会のみならず懇親会もお楽しみ 頂きたいと思います.皆さんの参加と発表をお待ちしております.

以上