21世紀COE

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2003年度から大阪大学の理学研究科物理学専攻
・数学専攻・宇宙地球科学専攻・核物理研究センター・
極限科学研究センター・レーザー核融合研究センター
等で「究極と統合の新基礎科学」というプログラムの
21世紀COE研究が始まりました。
核物理研究センターはその中でのハドロン物理、原
子核物理、宇宙天体核物理を理論・実験面で分担す
ることになっています。
21世紀を担う若者が思い切り勉強し研究に没頭でき
る環境を提供できることを心から望んでいます。
ここに、その内容を掲載したいと思います。


          核物理研究センター センター長 土岐 博

     21世紀COEプログラム 「究極と統合の新しい基礎科学」
                  拠点リーダー 理学研究科物理学専攻   大貫惇睦
 本拠点の学問分野は微視的な素粒子の世界から広大な宇宙に及んでいる。すなわち超新星爆発によって形成された惑星・地球、地球に降り注がれた様々な元素を用いて創成される新物質・化合物、物質を構成する分子・原子、その構成要素である電子と原子核、更には宇宙の誕生にも密接に関連する素粒子・クォークが研究対象である。それを研究するための実験・観測及びその装置の開発、現象を説明する理論、更に理論を洗練していく新しい法則・原理へと導く数学、これらが本拠点のカバーする学問分野である。 

実験により発見された現象は、物理学の基本法則に基づいてモデル化され、現象を数学的厳密性の下に説明することで新しい法則へと発展する。かつて磁気と電気は別物であった。電気の流れが磁石の針を動かし、磁石を動かすと電気が起きることから電磁気学が生まれ、発電機やモーターが発明された。基礎科学の統合は思いもしない新しい技術を生み出し、人間生活を豊かにする。電磁気学は数学的法則に高められ、数学的な矛盾性から変位電流が必要であることが明らかとなり、電磁波の存在が予言された。今や電磁波は世を覆い、電磁波のない現代文明を想像することはできない。電磁波を更に深く追求することから相対性理論が生まれ、重力理論(リーマン幾何学)やゲージ理論(ファイバーバンドル)の発展に導いた。基礎科学の発展は、「更に深く」究極世界を探る縦糸と、「更に広く」統合原理を求める横糸の織りなす芸術作品である。
現代の基礎科学は次第に細分化しつつあり、更に深く究極を探求し更に広く統合する視点を復活させる必要がある。「究極と統合の新しい基礎科学」をCOEプログラムとして提案するゆえんである。この目的を達成するために[1]宇宙基礎物質の研究、[2]新物質の創成、[3]原理の探求の3つの柱を立てプログラムを実行する。このように実験系と理論系の幅広い研究者が連携することは、我が国ではまだ前例がない新しい形態と言えよう。 

大学院学生・若手研究者の統合性と自立性及び国際性を養うために、若手夏の学校等を若手夏の学校等を開催したり、海外インターンシップを充実させる。宇宙へのロマンを抱き、物質の多様性に驚き、法則の持つ数式の美しさに感動する大学院学生・若手研究者を、世界に通用する研究者として育てたい。