エグゾティックアトムの生成と構造 Workshop 報告




Exotic Atom Workshop

表題のWorkshopが予定通り10月1日に朝の11時から晩の7時半まで
RCNPのセミナー室で開催されました。午前中は実験の研究者も参加して
いただきましたが、午後からは理論グループと奈良女の研究者の参加で
細部にわたっての議論を行いました。

山崎氏はExoticAtomの発展の歴史から話を始めて、深く束縛されたパ
イ中間子原子の発想から発見、さらには実験の現状とそのデータの意味す
るところを紹介しました。パイ中間子が経験する原子核での密度は中心部
密度の約0.6倍であること、及びアイソベクターの値からカイラル対称性の
回復の割合を導出できることの議論を行いました。保坂氏はPentaquarkの
理論的な解釈について、幾つかの理論モデルの紹介を行い、今後研究する
べき課題を紹介しました。
比連崎氏はPionicAtomから始めてオメガ、イータ,シグマなどが核内で束縛
状態を作るとするとどんな性質を持つかの理論計算を紹介しました。さらに実験
的には重陽子や光を使った場合の予測される断面積などを議論しました。
永広さんはイータ原子(核)を核内でカイラル対称性が回復すると考えるモデル
と、カイラルユニタリーモデルでどのように構造が変わるかを紹介しました。さらに
は実験的な断面積がどのようになるかの紹介を行った。
芳賀氏は存在するミューオニック原子のスペクトルを示し、その理解の為には
原子核のPolarizationを正確に計算することが重要であることを紹介した。
さらには相対論的な原子核モデルでの計算結果も示し、さらに計算を完璧なもの
にしていく計画を紹介した。反陽子の性質についても電磁崩壊の確立についての
計算結果を紹介した。
山崎氏はさらにラムダ(1405)がK−とPの束縛状態だと仮定し、そこから導出した
ポテンシャルを使うとPPKやPPPKなどの束縛状態が非常に安定なものになること
を議論した。さらに興味深いのは核子の密度が5倍以上になる可能性を指摘した。
実験的にはK,π反応などの方法と重イオン反応を使ってInvariant質量を測定する
ことでExoticsを見つける方法とその実験の方法を紹介した。後者は森永手法と
呼べるとその方法の一般性を紹介した。
土岐氏はカイラルモデルを使って原子核を記述する理論の現状を紹介し、有効質量を
0.8位にするためにはどうしてもπ中間子の凝縮まで考慮した原子核理論を必要と
することを議論した。マジック数を出現させる新しい機構の紹介を行った。

これらのトークの内容は多くの論文に発表されているものだが、今回のWorkshopで
かなりの議論が出来たことにより、その内容がもっと充実されることが期待される。
Workshopに参加されなかった研究者の為にもHPにPPTファイルを添付して置きます。

文責(土岐)


Exotic Atoms / Nuclei T. Yamazaki (ppt)
5-quark states in a chiral potential A. Hosaka (ppt)
Muonic atom and anti-nucleonic atom A. Haga (ppt)
Relativistic mean field theory and chiral symmetry for finite nuclei H. Toki (ppt)