RCNPワークショップ報告書
タイトル: 0- 状態と原子核内π中間子相関研究について
日程: 2003年9月1日(月) 〜9月2日(火)
プログラム:
1日(月) 13:30−14:30 岡村
14:30−15:30 若狭
15:30−16:00 民井
16:00− 議論
2日(火) 10:00−11:00 土岐
11:00− 議論
内容: RCNPではAVFサイクロトロン更新が計画されている。これと関連して、偏極原子核ビームが検討されている。 (d,2He) 等の荷電交換反応での 0- 状態励起のテンソル分解能Azzは、0度で極値 -2をとり、0- 状態の探索に適している。偏極 6Li を用いた (6Li, 6He) 反応は高分解、高効率での測定が可能であり、新しいプローブとなる。0- 状態はパイ中間子の効果については原子核での表面パイオン凝縮とも関係しており、その関係を付ける為の議論もしたい。
ワークショップで行なわれた議論:
上記内容のワークショップを予定通り行なった。岡村は、理化学研究所での(d,2He) 反応のテンソル分解能Azzの測定から、12Bの励起エネルギー 9.3 MeV 近傍に0- 状態があることを示した。同時に、スピン励起の選択性をDWBAに基いて説明した。若狭は、陽子非弾性散乱による0- 励起の研究を議論し、特に、RCNPで測定された16O(p、p‘)の解析結果と今後の実験計画を報告した。関連して、畑中が16O(3He、t)16Fの実験結果とDWBA解析を報告した。民井は、これまでに報告されているすべての原子核中の0- 状態をサーベイし、系統性を議論した。土岐は、表面パイオン凝縮に関する理論の最近の進展を報告した。議論では、原子核中でのパイ中間子の効果を示す観測量を明確にする重要性が強調された。今後更に詳しい検討が実験、理論両面で必要である。
偏極原子核ビーム生成に関しては、偏極した原子をイオン化する際の減偏極が議論された。計画されている方法では、プラズマ中での荷電交換反応・非弾性散乱による原子の励起・高周波による電子スピン反転共鳴、等の評価が重要である。数値計算によるシミュレーションを進めるとともに、これらの効果を実験的に評価する必要性が指摘された。国内外の施設・装置を利用した開発の可能性を議論し、まずプラズマ中でのイオン捕獲時間の測定を早急に行なうことにした。