LEPS共同利用に向けての提案 レーザー電子光プロジェクト(LEPS)は平成13年度共同利用開始を目標としている。 その基本は、公募による実験課題の募集とPAC(QPAC)による実験課題の採択であり、 それに加え円滑な実験遂行のためには 1) レーザー電子光ビームの安定供給 2) クォーク核分光装置の維持、運転、改良 3) SPring-8ユーザー登録等事務手続きの補助 4) 緊急時のサポート (SPring‐8での実験にはBL33LEP連絡責任者が駐在している必要がある。) を可能にするサポート体制を整える必要がある。さらには可能な限り、 共同利用実験グループに対し、旅費及び実験費の補助をRCNPが行なうことが望ましい。 また、SPring-8とRCNPのBL33LEPビームライン使用に関する契約が平成12年10月に 締結される予定であるが、その中で、専用ビームラインであるBL33LEPは共同利用実験 を義務付けられているという事情もある。(但し、共同利用のために割り当てるビーム タイムは全国共同利用研としてのRCNPが決定して良い。) しかしながら、共同利用のための運営費が措置されず、新部門設立も認められていない 現状では、LEPSでの共同利用実験のためにRCNPの限られたリソースから新たな人員、 予算を割り当てることは難しく、リングサイクロトロンで行われている共同利用実験の ようなサポートをRCNPのスタッフのみで行うことは実際上困難である。 また、実際、ビームラインを共同で建設したSPring‐8及び原研の協力がなくては レーザー電子光ビームを発生することもクォーク核分光装置を運転することも できない。新検出器の開発も、核理1B予算の80%はビームライン及び クォーク核分光装置の維持に当てられているため、他大学及び研究機関の 協力なくしては不可能である。旅費に関しても、現在行われているプロジェクト推進 グループの活動を維持するのにすら不十分で、不足分をAcademia Sinicaからの補助、 他大学の科研費で補っているというのが実情である。 現在までのプロジェクト推進の中核は、原研、SPring-8(JASRI)、名大、山形大、 甲南大、京大及びAcademia Sinica等との共同研究グループである。同グループが φ中間子生成子実験を目的として、ビームラインの建設、レーザー電子光ビームの生成、 クォーク核分光装置の建設、DAQシステムの開発、オフラインプログラムの開発を 極めて短期間に実現してきた。さらに同グループは測定装置の改良や新検出器の開発、 ビームの高度化、偏極標的の開発を、予算の面でも、また人員配置の面でも有機的に 協力して推進している。共同利用実験を行うためこの強力なプロジェクト推進グループの 協力を得ることを提案したい。プロジェクト推進グループは、共同利用に際し、 1) 共同利用実験に対するサポート 2) グループにより開発されたハード及びソフトの公開と提供 に協力する義務を負う。 一方、 1) 旅費及び研究費のRCNPからの補助 2) ビームタイムの優先割り当て という権利を得る。これらの義務と権利、年限を明確かつ具体的に文書化し、民間の 研究機関とは共同研究の契約書をかわし、大学等の研究機関とは覚書(MOU)を かわすことにより、プロジェクト推進グループの機能の一部に共同利用に対する サポートを盛り込む。プロジェクト推進グループの構成とビームタイムの優先割り当て については、グループの中核である核理1Bグループが毎年度研計委に提案しその 承認を得る。 以上により、公募による実験課題の募集、QPACによる採択、プロジェクト推進 グループのサポートのもとでの実験遂行という手順に従ったLEPSの共同利用を 平成13年度に開始することが可能になる。 なおプロジェクト推進グループのサポートの下でLEPS共同利用実験を行なうという 本運営方法は恒久的なものではなく、毎年度研計委の場でレビューを行ない、より効率的 かつ実情にあった方法に改良していくものとする。