RCNP-Z-385                                63.10.14          研究計画検討専門委員会議事録(案)         日 時 : 昭和63年9月7日(木) 10:00〜16:00         場 所 : 大阪大学核物理研究センター会議室         出席者 : 今井、大橋、下田、堀内、安江、南園、松柳、             与曽井、池上、小方、片山、近藤、鈴木、藤原、山嵜         欠席者 : 市村、坂本、岸本、高松、李、矢崎 [A] 報告事項  1. 一般報告  池上センター長より次の報告があった。    @ 宇宙線分野からの核運委委員として柳田昭平氏(茨城大)及び研計委委員として 大橋英雄氏(東大宇宙線研)が決定された。  A 日本学術振興会と韓国科学財団との科学者交流事業による来日研究者として、 Bhang Hyoung Chan氏(ソウル大学助教授)が昭和63年6月20日〜7月19日まで 滞在した。  B 昭和63年度科学研究費(海外学術研究)の内定が次の通りあった。 代表者       池 上 栄 胤 申請額  63年度 5,027千円 64年度 4,942千円  経費総額  10,000千円 交付内定額 3,000千円 3,000千円 6,000千円  C 中間エネルギー核物理に関する核研国際シンポジウム及び第14回高エネルギー 加速器国際会議開催に対して核物理研究センターが後援することになった。  D センター長候補者選考規定が昭和63年5月18日付で正式に大学の規程として 制定された。  E「放射性同位元素の承認使用に係る変更申請」が6月13日付で科学技術庁より 承認された。変更内容は現施設と新設リングサイクロ卜ロン施設との接続のための 管理区域の一部変更に伴うものである。 F 6月24日船田文部政務次官、大阪大学総長、事務局長が当センターの実験研究施設を見 学された。又、6月30日文部省研究助成課斎藤調整官らがセンター実験研究施設を見学 に訪れられた。  G 酒井英行助教授が、6月10日〜24日の期間イタリアで開催された 第5回核反応機構国際会議出席のため海外出張した。  H 教務補佐員田村圭介氏は9月4日から同26日まで海外渡航のため9月3日限りで 退職し、9月27日から再採用の予定である。  I リングサイクロトロン棟新営工事は鹿島建設、三井建設、真柄建設共同企業体に 落札した。  J 新営工事の資材置場のために駐車場が変更された。  K 共同建設者として阪大教養部下田正、宮武宇也両氏に御協力頂くこととなった。 測定器系、ビーム伝送系、加速器系の不断の開発を進めるために他の共同建設者の方々 についてもより積極的に御協力を頂く方向で順次考えていく方針である。  L 64年度概算要求に対する省議結果についての説明があった。  2. 加速器部報告  近藤加速器部責任者より次の報告があった。    @ AVFサイクロトロンに2,3の故障があったが実験遂行には支障はなかった。   A 夏期シャットダウン時にインバーター方式の大型ヒートポンプを分解修理し、 クーリングタワーのモーターの一部も修理、または交換した。 一台のクーリングタワーでひび割れを発見し、エポキシ樹脂による修理を行った。 真空ポンプ、電源等の定期点検を行った。  B 電力フィーダーが放電により著しく損傷しているので、新品に交換しテストを 行っている。順調なテスト結果となっている。  C 発振器の大型真空管を交換した。現在のところ予備品がない状態である。   D デフレクターを交換した。  E その他、熱交換器、偏極イオン源、制御系、普通イオン源についても夏期点検を 実施した。  F リングサイクロ卜ロンの一部、部品納入も行われ、設計も順調に進行している。  3. 測定器部報告  池上測定器責任者より次の報告があった。  @ 加齢現象ともみられる小さな事故が発生しているが、共同利用実験は順調に 実施されている。  A 高分解能スペク卜ログラフは新造することに決定した。これは、改造費及び 新造に伴う性能アップ又は技術開発上の企業側メリット等さまざまな要因の 検討結果である。DUMASスペクトログラフは当面、そのままの形で 移設することとなる。TELASは将来KEKから移管の予定であるが、 使用方法に関しては現在検討中である。  4. 共通部報告  小方共通部責任者より次の報告があった。  @ 第26回共同利用実験はスタートが少し遅れたが、順調に進んでいる。 夏休みのシャットダウンが次期計画関連工事により、少し長くなった。 又、同様な理由で第26回共同利用期間実験は9月末までの予定が10月末に 延長されている。  A 計算機がFACOM380Rにおきかえられた。ターミナル等もおきかえられ、 ユーザーには好評のようである。6月8日に計算機ユーザーズミーティングを 開催し運用面について種々議論した。次期計画に関連して大型計算機の更新及び データ処理用計算機について考えていく必要がある。  B カスケード計画関連工事のため駐車場の変更があるので多少不便となる。  5. 理論部報告  鈴木委員より次の報告があった。  @ 理論部定期セミナーとして関東学院大学小川建吾氏を招いてセミナーを行った。  A 理論ビジター制度の一環として東北大福永厚氏、及び東京電機大 高柳和雄氏に 夫々2,3週間程度の滞在でワークショップを開催した。  B 62年度共同利用計算費報告はRCNP P-99として出版された。  6. その他  @ 藤原幹事より昭和63年度共同利用ワークショップ及びカスケード計画 ワークショップの実施状況について報告があった。なお前期研究会として採択された研 究会「巨大共鳴」は約70名の参加者があり種々の問題が討議された旨、 報告があった。  A 4月以降に次のようなワークショップが実施された。   1) 不安定核ビームによる天体核物理の研究   2) 大口径スペク卜ログラフ   3) 少数核子系における相対論的取扱の検討   4) スピン・アイソスピン依存応答関数に関する研究及び討論  また、以下のテーマについて計算機共同利用の申請があり実施された。   5) 3α,4α直交条件模型による12C,16Oの研究   6) 9Bの弾姓、非弾性散乱における break up 効果の系統的分析   7) 遷移核低励起集団運動の動力学的非調和効果の分析                          [B] 協議事項  1. 第27回AVFサイクロ卜ロン共同利用採択について 第27回AVFサイクロ卜ロン共同利用応募書類及び昭和63年9月6日(火)開催の テーマ説明会にもとづいて、マシンタイム配分について協議し、別表1の通り 決定した。第27回共同利用実験費の配分は研計委幹事・藤原、下田及び 共通部責任者・小方の三名に委任し、決定することにした。 後日別表2の通り決定した。    2. 昭和63年度後期研究会の採択について 8月22日締切で公募した研究会に1件の応募があった。 以下の1件を予算額48万円で採択することとした。 テーマ         世話人   中性子散乱及び中性子誘起反応  松岡伸行 その他  3. カスケード計画研究会 研計委が主催するカスケード計画研究会について議論した。 この種の研究会において、現在進行している次期計画を大いにもりあげ、 物理のこれからのテーマを探る必要があるとの方針が出された。 世話人として、市村(東大)、堀内(京大)、久保(都立大)、安江(東大核研)、 下田(阪大教養)、鈴木(RCNP)、与曽井(RCNP)、藤原(RCNP)があたり、 開催時期、プログラム等についての具体的検討を行うこととなった。  4. 研究会採択結果に伴い研計委関連予算の見直しを行った。   以下の項目について追加再配分を行った。   @ カスケード計画検討研究会旅費   30万円(合計90万円)   A カスケード計画ワークショップ   15万円(合計65万円)   B 計算機共同利用旅費         6万円(合計16万円)  5. カスケード計画での実験採択方式の調査委員会(岸本、今井、藤原、下田)からの 調査報告が行われた。 参考資料として、Indiana, LAMPF,MSU, GANIL, GSI, AGS 等の研究所での 採択方式について紹介が行われた。調査内容を今後充実し継続的に議論を行い、 近い将来(1〜2年後)に最終的結論を出す方針が出された。  6. 委員の長期出張があらかじめわかっているときには前もって補充の可能性を 検討してはどうかとの意見があった。  7. 第28回共同利用実験採択及び研究会申し込みの締切日は昭和64年1月23日(月) 正午とした。  8. 次回研計委は昭和64年2月8日(水)に開催することにした。 第28回マシンタイム応募説明会は2月7日(火)に予定している。  9. 昭和63年4月7日開催の研計委議事録(案)(RCNP-Z-377)は下記のように訂正後、 承認された。 別表1中、  1)「カスケード計画計画検討会旅費」を「カスケード計画検討研究会旅費」に訂正。 2)「共同ワークショップ旅費」を「共同利用ワークショップ旅費」に訂正。 3)別表中「万」を全て「万円」に修正。 別表1              大阪大学核物理研究センター        第27回 AVFサイクロトロン共同利用マシンタイム配分         テーマ番号              実験テーマ 採択日数 27A01 p (n(over-right-arrow),γ) d反応のanalyzing power 測定 3日 27A02 3He (p,n) 3Li反応の0°測定 1日 27A03 3He (d(over-right-arrow),dd) p反応における偏極分解能 4日 27A04 11B,13C(p,n)反応の偏極移行測定 5日 27A05 14N(d(over-right-arrow),2He) 14C反応 3日 27A06 偏極陽子によるp-殻陽子knock-out 5日 27A07 イオンチャネリングと関連現象 1日 27A08 高速中性子の断面積測定 2日 27A09 28Si(p,7Be)22NaによるSi中への陽電子源の注入 0.5日 27A10 6Liの陽子非弾性散乱におけるKx’x,Kx’zの測定 5.5日 27A11 偏極陽子弾性散乱における減偏極度の測定 0日 27A12 (p(over-right-arrow),p’)反応による32Sの高励起状態の研究 2日 27A13 変形核による30MeV偏極陽子の弾性・非弾性散乱 3日 27A14 (p(over-right-arrow),d)によるNi同位体核の単空孔状態の研究 3日 27A15 レイトレース及びLANベースデータ収集システム 1日 27A16 208Pb(n,p) 208T1反応によるダイボール・スピン状態の探索 3日 27A17 陽子に対する金属元素の阻止能と平均励起エネルギー 1日 27A18 イオン原子衝突における融合原子の直接的検証 1日 27A19 RAIDENによる電子捕獲反応の標的殻効果の測定 3日 27A20 7Be粒子を用いた核分光 4日 27A21 短寿命核14O,15Oビーム生成と全反応断面積の測定 3日 27A22 Search for a Soft Giant Dipole Resonance in 11Li Nucleus via Heavy-Ion Induced Double-Charge-Exchange Reactions 4日 27A23 11Beの励起状態 1.5日 27A24 (6Li,6He)反応によるG-T巨大共鳴の励起 2日 27A25 44Ti核のアルファ・クラスター励起状態の検証 5日 27A26 陽子過剰核のβ遅延陽子崩壊の観測 4日 27A27 Tz=−1,52Coの崩壊の研究 3日 27A28 レーザー光ポンピングによるTmアイソトープの核偏極 3日                             合計日数  76.5日 なお、 課題番号 27A01,27A11,27A16の実験には次の様なコメントがつけられています。 27A01 : 今回はバックグランド及びカウント数の評価のためのテスト実験として     行って下さい。 27A11 : 物理の意義からの問題で採択されなかったのではありません。     先送りになったのは、マシンタイム配分、実行時期を考えての事です。 27A16 : 発生中性子のスピン・ダイポール準位領域での装置からのバックグランド等 困難な実験ですので、テスト実験として実行して下さい。 別表2 第27回 AVFサイクロトロン共同利用実験費配分 テーマ番号 責任者 配分額(万円) 27A01 須田利美 105 27A02 沖花 彰 30 27A03 関岡嗣久 36.5 27A04 酒井英行 40 27A05 岡村弘之 135 27A06 野呂哲夫 60 27A07 万波通彦 − 27A08 秦 和夫 20 27A09 谷川庄一郎 − 27A10 小林晨作 68 27A11 中野貴志 − 27A12 斉藤悌二郎 − 27A13 上垣外修一 − 27A14 的場 優 − 27A15 的場 優 84 27A16 松岡伸行 105 27A17 坂本直樹 − 27A18 石井慶造 − 27A19 小川英巳 − 27A20 山県民穂 170 27A21 下田 正 28 27A22 小林俊雄 70 27A23 永井泰樹 80 27A24 加藤昌平 − 27A25 山屋 尭 − 27A26 羽鳥 聡 20 27A27 宮武宇也 86 27A28 松木征史 60                  計   1,197.5万円