研究計画検討専門委員会議事録 日 時: 平成8年2月20日(火)    10:30〜18:30 場 所: 大阪大学核物理研究センター 会議室 出席者: 本林、井上、與曽井、宮村、鈴木、田阪、永目、下田、森       梶野、能町、土岐、菅沼、佐藤 (研計委要請)江尻、高久、細野、畑中、松岡、田中 欠席者: 旭、蓑輪、初田 [A] 新委員会の委員長、幹事の選出 センター長挨拶の後、旧委員会幹事(下田)が議長となり、委員長、幹事の選出を行った。 委員長(本林)、幹事(與曽井、能町)を選出した。尚、今回は開催が例年より遅く、旧委員 の任期終了後となったため新旧合同の委員会とせず、代表として旧委員会幹事に出席して もらっている旨説明があった。 [B] 報告事項 1. 一般報告(江尻センター長) センター長より核物理研究センターの組織構成、発表論文数、国際シンポジウム等 全般についての報告があった。 2.各グループ報告 ○ 核理 I (江尻) : 最近の研究成果として、松岡、藤田、サマンタ、レオ 各氏を代表とする研究の内容に ついて簡単な紹介があった。 〇 核理 II /クウォークレプトン(土岐) : 菅沼氏の着任によりポスドク、大学院生を合わせて約20名のグループとして、 研究体制が整ってきたとの報告があった。最近の研究内容として、DGL理論及び 格子QCDによるクオーク核物理、深部非弾性散乱、相対論的多体理論による天体物理、 原子核中の中間子の振る舞い等について行っていると報告された。 これに関して計算機物理分野の強化の必要性が指摘された。 平成7年度導入された並列計算機について報告が求められたが、導入直後の為報告は 次回以降との説明があった。 〇 加情I (佐藤) : 加速器の維持、改良について報告があった。震災からの回復、AVF電源の更新が完了し、 今後ESコースの整備、高分解能ビームライン、AVFへのフラットトップの導入等が 計画されている旨報告された。将来計画のための研究開発として、無同調RF、高性能 シンクロトロン用電源の開発について説明があった。研究開発については放医研、民 間との共同開発を積極的に進めるとの方針が述べられた。 シンクロトロン用電源の開発の為にAVFのM実験室を使用するのでD,E,F各コースが なくなる予定と報告された。汎用のビームコースを無くしてまで、M実験室で電源開発 を行うのが最良であるかとの疑問が出されたが、これに関しては過去2年間使用の可 能性を募ったが何もなく、加速器開発に使うことが現状では一番有効と判断したとセ ンター長から説明があった。尚、現在Dコースを使っている医学利用は東実験室に新 設するESコースへ移動する。 加速器の研究開発は、将来計画の中での意義付けを行って進めていく必要 性が指摘された。このことは研究開発をエンカレッジする上からも重要であ るとの意見が出された。また、AVFの改良の可能性に対し、抜本的な改造 を行うのか、小規模な改良で行くのか、将来計画をにらんだ議論を行う必要 性が指摘された。 〇 加情II (能町) : 平成8年度のネットワーク整備計画として汎用ネットワーク、高速計算ネットワーク、 データ収集・加速器コントロールネットワークの3種を整備していくことが 報告された。平成8年度にスーパーコンピューターの導入及び汎用計算機の更新が行 われると報告があった。 〇 研究企画室 (畑中) : 採択された実験のビームタイムの使用状況について報告があった。平成7 年度の加速器運転日数は206日(2月20日現在)であり、立ち上げ、開 発を除いた約7割が採択実験遂行に使用されている。また、採択課題中未実 施日数として148日残っている。 [C] 協議事項 1. 研計委の役割について 前委員長(千葉)からの引継のメッセージが紹介された後、議論を行った。 研計委の機能として a)「核物理研究センターの現状についてユーザー側からのチェック機能 b)「中・長期の研究計画に対する提言・立案」 の2つの機能が挙げられた。このうちユーザーインターフェースの機能は現在 の研計委の開催頻度では難しい事が指摘された。しかし、現状について広く 情報を伝え、それをチェックする機能をいかに確保するかについては今後議論 する必要がある。将来計画は研計委が主体的に取り組んでいかなければいけ ない問題であることが確認された。 2. 議事録承認 平成7年4月18日に開催された研計委の議事録(案)を誤字の訂正の後、 非改選委員によって承認した。 3. 研究活動 1) 研究プロジェクトについて 前回研計委までに説明のあった進行中、もしくは検討中の研究プロジェク トについて簡単に紹介された(一覧は前回研計委議事録参照)後、以下の3 つの新規研究プロジェクトについて各責任者より説明していただいた。 A.パイ中間子発生反応の相関測定 (松岡) B.西実験室ビームトランスポートシステムの改良 C.東実験室ESコースの整備 (細野) 研計委としては検討結果を以下のようにまとめ、勧告することとした。 Aについて ・パイ中間子発生のElementary Process の基礎データをとるのは、重要である。 ・物理としては、プロポーズされたこと以外にも広がりが期待できる。 ・測定器としてどこまで覆えるか詰める必要がある。 ・汎用装置と考えるか、個別プロポーザルとして扱うのが良いかはセンタ  ー側で検討してもらう。 Bについて ・高分解能実験を推進する必要性は認める。 ・トランスポート系の改良だけでなく、加速器の改良を含めた形で進めて  欲しい。また、それはセンターの加速器計画全体の中で考えるべきである。 Cについて ・センター予算を医学部の予算の不足分(1/3)に加えて建設すること  は汎用コースとして使用することから妥当であると了承された。 ・汎用コースとして使い易くなるようなアイデアを考えて、整備して欲しい。 2) B-PAC委員の選出 研計委からのB-PAC委員として、本林、鈴木、旭、田阪、能町の5名 を選出した。これを踏まえてセンター側で推薦委員を決定してもらい、次回 B-PACを3月28日(木)に開催する。 3) 計算核物理委員の選出 研計委からの計算核物理委員として、梶野、下田、菅沼の3名を選出した。 また、研計委外の委員として、堀内、桜木、矢花の各氏を推薦した。 4. 研究会、ワークショップ、シンポジウム等 〇 研究会 次回研計委で議論する。公募の書類を至急配布する。 〇 国際ワークショップ 以下の2つの国際ワークショップの提案に対して、各責任者より説明していただき、 議論の後開催を承認した。 A. Polarized 3He Beams and Gas Targets and Their Application (田中) (97年1月開催予定) B. 2nd International Data Acquisition Workshop on Networked Data Acquisition Systems (DAQ96) (能町) (96年11月開催予定) また、以下の国際ワークショップを COE に申請している旨アナウンスがあった。 C.マルチGeV高性能加速器と関連技術(佐藤) (97年3月開催予定) 〇 国際シンポジウム 以下の2つの国際シンポシウムについてアナウンスがあった。 A.QLN'97 (Quark-Lepton Nuclear Physics) (江尻) (97年5月?開催予定) B.Frontier 96 (土岐) (96年3月7日−9日開催) 5.将来計画、及び次回について 将来計画の議論の必要性・及びその進め方については断片的には既にいろいろな意見が でてきているが、将来計画についての本格的な議論は次回行うこととした。 国際評価委員会の答申の結果がそれまでに出ることを期待して、次回は3月27日(水)に 開催する。研計委が中心となって将来計画のためのワーキンググループ等を組織すること も考慮して、次回委員会には研計委委員以外にも数人に参加してもらう拡大研計委とする こととし、人選はセンター長と委員長に一任した。 6.その他 幹事より、研計委委員の連絡や議事録は、できるだけE-mailでやりとりできるように すること、また、ユーザーからの窓口となるE-mail addressを作り、投稿されたもの のうち必要と判断されるものは、研計委委員に回せるようにしていきたい旨の 発言があった。www等で情報を公開し、ユーザーの便宜を図ることも今後考慮していく。 以 上