研究計画検討専門委員会議事録(案) 日 時: 平成8年10月18日(火)   10:15〜17:30 場 所: 大阪大学核物理研究センター 会議室 出席者: 梶野、佐藤、下田、田阪、土岐、能町、初田、蓑輪、宮村、         本林、森、與曽井、 (研計委要請)江尻、畑中、藤原、藤田、野呂、田村、板橋、大隅、伏見 欠席者: 旭、井上、菅沼、鈴木、永目 [A] 報告事項 1. 一般報告(江尻センター長) センター長より核物理研究センターの研究人員、研究予算、研究内容及びその方法、国際 協力等全般についでの報告があった。 2. 各グループ報告 ○ 核理 II /クウォークレプトン (土岐) : 最近の研究の中から、QCDモノポールに関連して、Latice QCD とインスタントンとの係 についての紹介があった。 〇 加情 I (佐藤) : 大学院生4人、民間協力4人、また研究支援推進費で1人の人員がつき、体制が整って きた。 i) 現加速器のビーム性能向上について 夏期の試験において、リングサイクロトロンの磁極の温度変化と磁場の変動の強い相関 が明らかになり、冷凍機とヒーターを組み合わせた冷却水系の強化を考えている。今後 3年程度で種々の課題を解決していきたいとの報告があった。 ii) 次期加速器開発について 偏極イオン加速に関係して、8の字型のシンクロトロンを検討している。その他、無調 キャビティ、高性能電源の開発や DC squid を用いた微弱強度ビームモニターについて 説明があった。 ○ 核理 I (藤原): 最近の実験及び開発研究について資料により報告があった。特に、ここ数年進めてきた DAQ開発により、Grand Raiden(+FPP) 系のデータ処理スピードが従来の約20倍の1メ ガバイト/秒と高速化され、FPGAを用いた回路システムの開発も進んでいる旨説明があ った。その他、大塔村トンネルに関して企業からの使用申し込みがあること、SPring-8 で のレーザーコンブトン用のビームラインが決定されたこと、学生数の増化により部屋が 不足していること等について報告があった。 ○ 加情 II (能町) : DEC製新汎用計算機システムへの移行、及び情報コンセントやネットワークの変更等に ついて説明があった。また、大型計算機センターに入るスーパーコンピュータについて、 核物理研究センターは 1/4 を優先的に使用できる旨報告があり、それに関して、ユーザ ーへのアナウンスを早く行なうよう要望があった。国際シンポジウムDAQ 96 が11月13 日から15日まで核物理研究センター主催で開催される旨アナウンスがあった。 〇 研究企画室(畑中) : 平成8年度加速器運転時間並びにマシンタイム未実施日数について資料により報告があっ た。 [B] 協議事項              1. 研究会、共同利用ワークショップ 幹事より、承認した共同利用ワークショップについて報告があった。また、ワークショッ プや研究会の申込者においてはカテゴリーを明らかにして申し込むよう要望が為された。 2. 研究プロジェクトについて 以下の2つの研究プロジェクトに対し各責任者より説明していただいた。 a) WS beam-line Project (II)         (藤田、野呂、田村) b) 次世代高速ネットワークを用いたデータ収集システムの開発 (能町) 研計委としては検討の結果を以下のようにまとめ、勧告することとした。 a) について 加速器を含む他のプロジェクトとのバランス、期待される物理の成果等についで議論をお こなった。その結果、研究基盤の整備は重要であるという観点からもビーム性能向上のた めの改良を並行して進めるという付帯条件のもと、プロジェクトとしての意義を認め研計 委としては計画の推進をプッシュする。加速器の改良等と関係して、実際の進め方はセン ター側で検討してもらう。 b) について 予算要求はなく、汎用計算機をこのプロジェクトのために使いたいという申し入れであり、 大規模ネットワークによるデータ収集システムの開発の意義を認め、研計委としては承認 した。 3. Letter-of-Intent 及びプロポーザルについて 以下の2つの申し込みに対し各責任者より説明していただき、議論を行なった。 a) Thermo-Nuclear Reactions and Astro-Nuclear Physics (板橋、大隅) 議論の内容としては、 * Gran Sasso のLUNA 計画との関係。 * 予算規模 (4,000万円) の妥当性。 * 3He+t はできないか? 等があったが、問題点を明らかにするためにも先ずGOさせたいとの意見も出された。 b) Search for Dark Matter by Studying the Annual Modulation of the Energy Spectrum in Huge Volume NaI(Tl) Scintillator    (伏見) 議論の内容としては、 * 正当な比較を行なって、既存ものに負けない保証はあるか。 * 未知のものに対する考慮の詰めが甘いのではないか。 * 現在走っているELEGANT V や CaF の計画と並行しておこなえるか。 * いきなり1.5億を NaI に投資する前に充分試験する必要がある。 等、比較的厳しい意見が多く出された。 4. 将来計画について 前回の研計委で発足した将来計画検討のための委員会(委員長 梶野)による中間報告が為 され、それをもとにフリーディスカッションを行なった。委員会への要望としては、 i) 人材開発、装置開発のソースという観点も考慮に入れること。 ii) 加速器としてはレプトンの可能性も残して検討して欲しい。 iii) 物理としては QCD に収れんしすぎるのは良くない。 iv) 応用や技術革新にも目を向けるべき。 v) 現在リングサイクロトロンで行なわれている物理との連続性は重要である。 vi) キャッチコピーが欲しい。 等が出された。次回の将来計画検討のための委員会は12月21日に予定されているとの ことで、そこで出される報告書をもとに次回以降の研計委で引き続き議論することとした。 5. 議事録承認   平成8年3月27日に開催された研計委の議事録(電子メールに配布済み)を承認した。 6. 次回  次回研計委は、核物理研究センターの成果報告のためのミニ研究会と合わせて2月後半 に2日かけて行なうという方向で進める。