理学研究科博士後期課程3年 太田岳史君 「日本NIアプリケーションコンテスト学生部門最優秀賞」受賞




 理学研究科物理学専攻(核物理研究センター所属)の博士後期課程3年の太田岳史君が「日本NIアプリケーション・コンテスト」学生部門最優秀賞を受賞しました。このコンテストはナショナル・インスツルメンツ(NI)製のソフトウェア・ハードウェアを使用したアプリケーションを、日本全国のユーザーより募り、技術、コスト、革新性等の面から審査するコンテストです。アプリケーション・コンテストの歴史は1998年に遡り、学生部門は2003年から設けられ、独創性に溢れる研究開発成果に対して与えられるものです。
 
 太田君は核磁気共鳴(Nuclear Magnetic Resonance: NMR)信号を解析するために

1. アナログ信号を高速デジタル変換する最新技術、
2. ノイズを画期的に減少させ核磁気共鳴に特有な信号のみをピックアップするフーリエ変換技術、

を組み合わせ、高速パーソナルコンピュータを用いてNMR信号検出に成功しました。従来NMR回路システムに用いられた高価なロックインアンプが不要となる仮想NMR回路システムの構築に成功したといえます。今回の受賞研究課題は「PXIを用いたポータブルNMR想定システム:LabVIEWで仮想化するロックインアンプ」です。この研究ではNMRシステム構築を安価にすると共に、回路システム全体の大幅なサイズ減少を達成しました。
 研究成果は、将来、広くNMR回路システムに応用され、核物理研究センターで開発中の偏極陽子・重陽子標的の偏極測定に
大きく貢献します。また、偏極光ハドロン反応を用いて、クォークから構成されている核子構造を研究する切り札となる「スピン偏極完全実験」実施への技術基盤を与えました。