Welcome to the ISOSPIN World ! アイソスピンの世界へようこそ!
[Q] アイソスピンってナニ? だって、聞いたことナイ! [A] 御心配めされるな。物理学科の学生さんでも知らない人が大半。 荷電スピンと約される古くからの量子数で、似かよった粒子(例えば陽子と中 性子)を同一粒子だが”荷電”の状態が違うだけである、として統一的に取り 扱うために1938年 Heisenberg と Wigner により導入されたのです。 最初、陽子と中性子を、"核子"の2つの状態として記述するために導入された のですが、その後、強い相互作用をする他の多くの粒子にもアイソスピンの概念 が有効であることがわかったのです![Q] アイソスピン量子数を導入すると、なにかうれしいことでもアル? [A] それぞれの量子数には、それぞれに"symmetry" つまり「対称」の世界が 伴うものです。原子核におけるアイソスピン量子数の理解は、実験の困難さの ため、 ほとんど手付かずでした。驚くほど大きな"symmetry" の世界がこれか らみられそうです。偉人の言う"古き革袋に新しい酒を盛る?"ですよ!<\H7> [Q] アイソスピン量子数のテイギは? [A] 原子核の場合について説明しましょう。 通常のスピンと似せて、核子はアイソスピン 1/2 を持ち、その z 成分として、 陽子は -1/2 中性子は 1/2 を持つと定義します。Z個の陽子、N個の中性子より 成る原子核では、スピン(角運動量)が合成されるように、ベクトル的に合成され ます。つまり、アイソスピンの z 成分は、Tz=(1/2)(N-Z) となり、アイソスピン の大きさ T は、(1/2)|N-Z| から (1/2)(N+Z) までの値をとります。 一般に、原子核基底状態のアイソスピンは、原子核対称エネルギーの存在により、 その最小値である、T=(1/2)|N-Z| を持つのでーす!
従来原子核の構造は、陽子数Z、中性子数Nを持つ「個々の原子核」に対して、 単一の相互作用により引き起こされる励起や崩壊の強度、エネルギーから研究 されてきました(so called 縦のひろがり!)。しかし原子核で働く相互作 用は、強い相互作用(核力)、ガンマー崩壊を引き起こす電磁相互作用、ベー ター崩壊で働く弱い相互作用と多彩です。しかも、これら強、電、弱 3相互作 用による励起や、崩壊の類似点や相違点を統合的に比較検討すると、質量数A (= Z+N )が同じであれば、異なる原子核に共通な構造が高励起状態にまでひろ がっている、という事を示しつつあります(so called 縦、横のひろがり! = アイソスピン対称性)。