偏極6Liイオン源各部設計に関する情報 22-SEP-2003 by A. Tamii 14-FEB-2005 Reviced by A. Tamii 1) リチウムオーブン、ノズル □ オーブン形状: 円筒形 内径2.3"φ、内部長さ 3.8" [2] 内部にしきりあり、しきり上部に穴3つ [1] 下流にリチウム挿入用穴。円形のナイフ エッジ突起あり。蓋をしめつけて潰す [1,2] □ オーブン温度: 850°C [1,7] 850°C [13] □ オーブン材質: SUS [1] 炭素含有量が少ないものが良い □ オーブン製作方法: アーク溶接 [1] □ ヒーター材質: Thermocoax heating wire (Philips 1 Nc I 20) [13] □ ヒーターパワー: 120A DC [1] □ ノズル径: 0.5mmφ [1,7] 図面では 0.030" ? [2] 0.5mmφ [13] □ ノズル形状: Laval Nozzle [2] 内部 taper 15°、外部 taper 3° [2] 最狭部長 0.060" [2] 出口 R=0.006" [2] Laval Nozzle [13] □ ノズル材質: Pure Ion [1] □ ノズル設置方法: テーパー(3°)付き穴にノズルを打ち込む [1] 外す時はドリルで削り出す [1] 350W for 725-825°C [3] □ ノズルヒーター: □ ノズル温度: □ 熱シールド: SUS薄板を巻く [1] 0.3mm厚の5層のステンレスによりシールド[13] □ 冷却方法: 真空容器外に銅パイプを巻いて水冷 [1] □ 真空排気: 500 l/s ターボポンプ [1] 300 l/s TMP [3] ノズル出口で 4x10^-6 Torr [1] 4x10^-6 Torr 以下で2日間排気 [1] 2x10^-6 Torr 以下でオーブンを熱する [3] □ リチウム: >=99% Isotope Enrichment [1] 95% Isotope Enriched 6Li [13] □ リチウム挿入量: 25g (full) [3] □ リチウム消費量: 2.5 g/day, 3 mg/μA/hour [1] 25g で 2-3週間 [3] 1 g/day [13] □ オーブン設置方法: ノズル部のはめ合いにてアラインメント。 固定なし [1] 参考情報 ・ Skimmer、ノズル、オーブンの順に温める。 400°C程度で水が出て来るため、この温度領域はゆっくり と温める。50→400°C は速く温めても OK [1] ・ オーブンの温度は一瞬でも下がるとリチウムの塊ができる ヒータ電源に無停電電源をつけるべき [1] ・ オーブンの蓋の真空切りは、ナイフエッジ型の突起を作って 締めつけで潰すのが良い。Oリングを使うとリークすることが 多い。 [1] ・ リチウムの平均速度 〜2km/s [3] 850°C での平均速度は 2.8~km/s。 [13] ・ 再度リチウムを詰めるには2日間要する(0.5mmφのノズルから アウトガスを引き出す時間) [13] ・ hot Li と接触する部分は全てステンレス鋼もしくはタンタル にて製作。 [13] ・ SLAC の大型リチウムオーブンに関する文献も参考のこと。 後ろに抜粋を添付。 [21] 2) スキマー、コリメータ □ スキマー形状: 1mmφ、内部 taper 25°,外部 taper 32°[2] できるだけ鋭く。鋭角は重要 [2] taper 2°をつけて、板に打ち込む [1,2] 1mmφ [13] □ ヒーター材質: Thermocoax heating wire (Philips 1 Nc I 20) [13] □ スキマー温度: 550°C [1] 650°C [3] □ リチウム回収: しない [1] □ 材質: SUS304 [2] □ 真空隔壁: オーブンと下流との間の(スキマー部を除く) 隔壁の密封性は必要ない [1] □ 回転コリメータ 穴 0.125"φ×30 taper 10° [2] 0.8-1.0mmφ×30 [3] 1.5mmφ×22 [13] 材質: 真鍮 [3] 12 時間毎に穴の位置を変える [13] 参考情報 ・ Optical Pumping 部の磁場に、ヒーター電流が影響しない様に コリメータ部に磁気シールド用の金属を入れている [3] 3) 光ポンピング部 □ レーザー: Ar+Dye [1] □ レーザー輸送: ミラー、レンズによる。Fiberはやめた。 パワーが小さくなるため [1] □ レーザーパワー: 65 mW at Source [1] 50-100mW at pumping region [7] □ スポットサイズ: 4mm(H)x10mm(W) [7] □ リフレクタ: Retro-Reflector を使用。 さらに反射光も穴空き平面ミラーで反射 [1] □ 波長Feedback: PMT を使用。安定しているのは現在はなし。 □ 2波長生成: EOM を使用 [1,3,7] EOM-1 = 402 MHz, EOM-2 = 1.3 GHz [7] for 7Li EOM-1 = 114 MHz, EOM-2 = 1.3 GHz [3] for 6Li □ 磁場: 10 Gauss [1,3,7] □ 磁石: Helmholtz コイル [1,3] 直角2方向に補正コイル [1.3] □ λ/4板: リモート回転(自家製) [1] 参考情報 ・ 最初は波長安定化のため、LIFをPMTにて検出、Lockin-Amp と Modulation を使って Feedback をかけた。 [1,3] 現在は、Dyeレーザーの FPI を信用している。 [1] ・ EOM の効率は最初 50% 程度であった。Crystal を大きくして 80%程度になった。(90%?) 4) RFT遷移部 □ 磁場: 31-28 Gauss [7] for 7Li 入口磁場 30 Gauss, -2.00G/cm [3] for 6Li □ 高周波: 20 MHz [1,3] 1 Gauss [7] for 7Li 2 Gauss [3] for 6Li □ 容器材質: ガラス(Pilex) [1] Al End Plate, Steel End Plate, Copper RF Field Cramp [3] 参考情報 ・ 磁場は強くなる方向に配置した方が高い偏極度が得られる。 Adiabaticity 条件が満足されればどちらでも同じになる。 Adiabaticity 条件のチェックのため、磁場の変化方向を 容易に変えられることが望ましい。 [31] 5) 表面イオン化器 □ 電極材質: タングステン(W) [1] 酸素ガスを外から導入 [1] タングステン(W) [12] □ 形状: 4 cm^2、原子線に対して 45°方向 [7] 使用領域は 10mmφ程度? 実際にはイオン化器部の前で 2mmφ にビームコリメートしている [1] 幅 10mm 厚さ 50μm [12] □ 位置: ノズルから 37 cm [7] □ 温度: 1500°C [7] 1200°C にピークがある [3] 1000°C 以下で急激に効率が落ちる [3] 1800°K で使用 [12] □ ヒーターパワー: 100A DC [3] 50A [12] □ 電圧: 5 kV [1] 4.7 kV [3] 4 kV [12] □ Grid位置: Ionizer電極から1cm [3] □ Grid電圧: -850 V [7] -450 V [3] □ 移動: 電極を下に引き下げる。Grid はそのまま。[1] □ 真空度: 10^-6 Torr [1] □ 磁場: 1 kG [1,7] 800 G [3] □ 磁石: C型 [1] □ ビーム強度: 10-20μA、0.4π cm rad eV^{-1/2} [7] 10-15μA [12] 1-2μA [13] ・ RCNPではイオン化器電圧を 5 → 20 kV に上げる。 これに伴い、磁場を 4 倍程度に引き上げる予定(6Li軌道の問題) Gird 電圧も引き上げる可能性がある。 参考情報 ・ W Strip は数年に1度交換している。形が曲がる。 [1] ・ ヒーターとして初期には AC を用いたが、磁場の影響を考えて DC に変更した。 [3] ・ 初期には 300 Gauss の Helmholtz コイルを用いたが、 7Liの減偏極が大きかった。(Bc=287G) [3] 6) 原子線偏極測定部 □ レーザー: Pumping Laser を分けて使用 [1] □ 磁場: 500-900 Gauss [1] 500-1-00 Gauss [7] □ 磁石: C型 [1] 7) 6Liイオン源での磁場の連続性 ・ 光ポンピング部から表面イオン化器までの磁場は 〜10G 以上で 連続的に分布している必要がある。 偏極方向に垂直な方向の磁場の変化率に関する要請は 6Li原子の偏極の adiabacity 条件から決まる。 8) 6Li(1+)トランスポート部 □ Tube Lens: 1: 2.97 kV [3] □ Tube Lens: 2: 3.06 kV [3] □ 90度偏向電極: 0.974kV r=20.3cm gap=5.1cm [3] □ ステアラー: □ Faraday Cup: □ Chopper: ・ RCNPではイオン化器電圧を 5 → 20 kV に上げる。 これに伴い、Tube レンズの電圧、90度偏向電極の電圧も引き 上げられる可能性がある。 9) ECR内導入部、減速電極 ・ RCNPでは電圧は 5 → 20 kV に上げる。 これに伴い、磁場を 4 倍程度に引き上げる可能性がある。 (6Li軌道の問題) Grid 電圧、Tube レンズの電圧、90度偏向電極の電圧を4倍 程度に引き上げる可能性がある。 10) Wien Filter □ BL: 61.6 kG cm 以上 □ 使用最大磁場: 1.76 kG □ 使用最大電圧: 2.45 kV/cm □ 磁極長: 260mm □ 磁極幅: 120mm □ 磁極ギャップ: 90mm (平行磁極) □ 磁極シム: 5mm(ギャップ方向)×10mm(幅方向) □ 磁石AT: 14,000/2coil □ 電極長: 260mm □ 電極幅: 60mm □ 電極ギャップ: 60mm □ 電極ワイヤー: 2mmφ, 6mmスペーシング, 9×2本 □ 電極平行度: 1%(0.6mm)よりは十分良く □ ワイヤー位置精度: 電場方向: 0.5mm 以下 幅方向 1mm以下 □ ステアラ形状: コの字型 □ ステアラ長さ: 50mm □ ステアラ幅: 60mm (コの字の内側) □ オーバーハング: 電場方向に 7 mm □ ステアラ電圧: WF電極の 40% 程度 □ アース板穴: 一辺 60mm の長方形 □ 電極、ステアラ間: 間隙 30mm □ ステアラ、アース板間: 間隙 100mm 11) その他 □ 2年に1度程度、全系を解体してリチウムの掃除を行っている。 [1] ・ 消化には砂が最も良い。ハロゲンとは反応して爆発する。 [1] SLAC 大型リチウムオーブンの開発情報 [21] [12]には、SLAC偏極電子ビーム生成にもちいる、Li イオン源(原子ステート選択&光イオン化) について詳説している。Li オーブンの設計に関しても詳しい。 ・強度の高い Li 原子線は 数~Torr の蒸気圧 (〜750°Cに対応)得られる。 ・この温度では、Li による腐食性が高いので、使用できる物質が低炭素含有量の鋼と数種 の耐熱性物質に制限される。 ・オーブン本体は ARMCO (Amperex Electron Corporation) ingot iron で製作。 溶接部が液体 Li に触れることがないように、オーブン本体は削り出しで作る。 ・オーブン上部とオリフィスは type-430 のステンレス鋼(フェライト)にて製作。 ・内側をガスタングステンアーク溶接で製作すると、リチウム蒸気との接触で漏れを生じた。 1~cmの深さの電子ビーム溶接にて製作する。 ・高温で使用するため、オーブンはタングステンのピン3つで支えられ、4層のステンレス で熱シールドされている。 ・チェンバーの壁と、熱シールドを囲む銅の箱は、フレオンにより冷却。 ・875°C での使用には、600~Wでの加熱が必要。 ・35~m の Thermocoax type 1 Nc I 20 抵抗熱ケーブルでオーブンを巻く。 ・オーブン下部と、上部(オリフィス部を含む)を別々の熱ケーブルで巻き、下部に対して 上部を高温にする。安定した運転に必要。 ・オーブンの温度は、chromel-alumel Termocoax type 2 AB I 20 熱電対で読み出す。 オーブン下部、上部、オリフィス部の3つ。 ・大型オーブンでは 500時間の高温稼働時間で変化なし。 小型オーブンでは 1000時間の高温稼働時間でほとんど悪化はなかった。 ・第1コリメータは 400°C にする。 リチウムがコリメータに積もらない程度に温度が高く、コリメータに衝突したリチウム 原子が凝縮してリチウム recovory 容器に流れていく程度に温度が低い。 ・時折第1コリメータに Li の塊ができてビームを塞いでしまう。 コリメータを 1時間 ほど 600°C に熱すると除去できる。 (コリメータの表面を脱イオン水とアルコールで拭いた後、磨かずに使うと塊ができる 頻度が下がる様である。) ・第2コリメータは通常周りよりも少し高い程度の温度で使用している。 12 時間に数分程度 275°Cに温度を上げて、集まったリチウムを流し去る。 ・大型オーブンのリチウム最大容量は 750 g。875°C の運転で 175 時間の間フル ビームが出せる。 ・リチウムの詰め替えは、チェンバーをアルゴンで満たし、あらかじめリチウムを詰めた オーブンと交換する。 ・オーブンとチェンバーは、オーブン 320°C、チェンバー 150°C の温度で 6時間ベーク た後、通常の運転温度に熱する。 ・オーブンチェンバーのベイク時の真空度は 10^-2 Torr。 オーブンを 320°C以上に熱する時は、不純物のリチウムへの混入を防ぐために、 10^-6 Torr 以下の真空度を維持する(真空度を維持したまま温度を上げるには10時間を 要する)。 ・オイルフリーのリチウム(6Li: 95.6%, 7Li: 4.4\%)は、アルゴン封入された状態で、 Oak Ridge National Laboratory から得られる。→ 現在は得られない様である。 ・リチウムの詰め替えは、すべてグローブボックス内のアルゴン雰囲気下で行われる。 10^-2 Torr の真空下でオーブン、じょうご、リチウムを 250°Cに熱し、リチウムをオー ブンに流し込む。 ・鈍い灰白色をしたリチウムの皮は、じょうごの中に残る。 ・第1コリメータのリチウム recovory 容器により、約2/3のリチウムが回収される。 ・リチウムを詰めたオーブンをチェンバーにマウントする時、オリフィスを通して30分程度 外気に接してしまう(この時以外は外気に触れない)。 ・リチウムへの不純物混入に注意を払わなければ、オリフィスにしばしば塊ができる。 この塊は、1020°C に熱しても取り除けない。 この塊は硬いフィルムで、リチウム以外の主成分は炭素である。 リチウムの製品には、5 mm大の炭素が混入しているものがある。 文献 FSU [1] K.W.~Kemper, E.G.~Myers, and B.~Roeder, Florida State Univ., Private Communication. [2] FSU, 図面, Private Communication. [3] A.J.~Mendez, PhD thesis, Florida State Univ, 1993, unpublished. [4] A.J.~Mendez et al., Nucl. Instrum. and Methods in Phys. Res A329(1993)37. [5] A.J.~Mendez et al., Nucl. Phys. A567(1994)655. [6] K.W.~Kemper et al., Proc. PST99, pp.~110. [7] E.G.~Myers et al., Nucl. Instrum. and Methods in Phys. Res B56/57(1991)1156. [8] E.G.~Myers et al., Nucl. Instrum. and Methods in Phys. Res A334(1993)271. Heidelberg [11] H.~Reich and H.J.~Jansch, Nucl. Instrum. and Methods in Phys. Res A288(1990)349. [12] D.~Kramer et al., Nucl. Instrum. and Methods in Phys. Res 220(1984)123. [13] E.~Steffens, Nucl. Instrum. and Methods 143(1977)409. Others [21] M.J.~Alguard {it et al.}, Nucl Instrum. Methods {\bf 164} (1979) 29. Others [31] R.J.Philpott, Nucl. Instrum. and Methods in Phys. Res A259(1987)317; D.P.~Sanderson et al., Nucl. Instrum. and Methods in Phys. Res A259(1987)324; S.~Oh, Nucl. Instrum. and Methods 82(1970)189;