ハドロン生成反応

ハドロンの構造を調べるために、様々な反応が利用されます。1 GeV(ギガ=10億電子ボルト)程度のエネルギーを持つ光子や中間子、陽子などを陽子などの標的に衝突させることによって内部に入り込み、クォークがどのような状態にあるかを調べることができます。同時にこのエネルギーは、これらの粒子の質量そのものに相当するので、この様な衝突反応では、粒子や反粒子の生成を伴います。

RCNPの実験グループLEPSチームは、SPring-8で2.3 GeV光子を利用した実験を行っています。光子を陽子に衝突させ、様々な中間子が生成されます。我々理論部では、このハドロン反応の研究を通してハドロン構造の様々な側面を探っています。強い相互作用をするハドロンは、量子力学の不確定性関係により、短い時間や距離のところで様々な状態に変化しています。これらの変化を詳しく調べることで、ハドロンを作る量子色力学の難解な側面を解決する糸口が見いだせると考えられています。光子の実験では、光のもつ偏光や、電気的・磁気的相互作用の性質をうまく利用することで、他の反応では実現することのできない研究を展開しています。

ペンタクォークも生成されていると考えられていますが、現在、その機構はわかっておらず、今後の理論研究の進展が強く望まれています。我々が取り組む最も重要な課題です。