ニュートリノビームを用いたハドロン物理 日程 : 2005年 2月24日(木) 内容 : ニュートリノビームを用いた核子のスピン構造研究に関して議論、検討を行う。 近年、RHIC@BNL、HERMES@DESY、COMPASS@CERNで偏極陽子・電子ビームと偏極陽子による高エネルギー散乱実験により、核子のスピン分布が明らかになってきた。しかし、核子の量子数を担っていない海クォーク(Sea Quark、ここではストレンジクォークに焦点を絞る)の核子スピンに対する寄与は実験的にも理論的にも統一した理解は得られていない。 上記の進行中の実験では、Sea Quarkに関して各フレーバー(Up/Down/Strange....)ごとに分解してスピンの寄与を測定することが可能であるが、Sea Quarkの寄与が支配的になってくる領域(Quarkの担う運動量: X-Bjorkenが小さい領域)に関しては測定不可能である。核子のスピンの寄与を理解するのに重要な物質量は、スピン偏極分布の積分値(すべてのXの範囲の積分)であり、各クォークフレーバーが担うスピン偏極の割合である。 今回、これまでの陽子、電子プローブでは不可能であったスピン寄与の測定を、新しいプローブであるニュートリノビームを用いて測定することを検討する。ニュートリノ・陽子弾性散乱の断面積には、直接、ストレンジクォークのスピン偏極の寄与がはいっており、ニュートリノ・反ニュートリノビームによる断面積の測定からストレンジクォークの核子スピンに対する寄与を測定することが可能と考えられる。ニュートリノ散乱による核子スピンの物理、具体的な実験計画に関して、議論、検討を行う。 責任者・世話人 : 斉藤(京大)、柴田(東工大)、酒見(RCNP) |