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松江工業高等専門学校

須原 唯広

Tadahiro Suhara

主な経歴

2006年3月

大阪大学理学部 卒業

2008年3月

京都大学大学院 理学研究科 修士課程 修了

2011年3月

京都大学大学院 理学研究科 博士後期課程 修了

2010年4月~2011年3月

日本学術振興会 特別研究員(DC2)

2011年4月~2013年3月

日本学術振興会 特別研究員(PD)

2013年4月~2016年3月

松江工業高等専門学校 助教

2016年4月~2019年9月

松江工業高等専門学校 講師

2019年10月~現在

松江工業高等専門学校 准教授

原子核におけるクラスター構造

高校物理で力学を習っていたときに、運動方程式と作用反作用の法則だけで、高校物理の範囲内のありとあらゆる力学の問題を解くことができること気付いたことが、物理学を本格的に学びたい、と思ったきっかけでした。非常に広い範囲の現象を、ほんの僅かな法則だけで記述し切ることができる、という点に感銘を覚えたわけです。ただ、高校物理の範囲内では、そのような構成になっているのは力学だけで、その他の熱力学や電磁気学などは、無数の法則があって、どれが基本法則なのかが分からず、その点を非常に不満に思っていました。その不満を高校の先生にぶつけると、大学で学ぶ物理学は、すべての分野が力学のように、基本法則からあらゆる現象が説明される構成になっているよ、と教えてもらい、ぜひそれらを学びたい、と思ったことが物理学科への進学を決めた理由です。

原子核物理学を志した理由は、大学4年生の研究室配属のために、様々な研究室を回って話を聞かせてもらったときに、原子核物理学が一番、理論と実験の相互作用がいいように思えたことでした。自然科学を志すからには、本当に自然と相対したい、つまり、自分の考えたことを実験的に検証したり、たくさんの実験データに触れて、そこから法則を考え出す、というような理論と実験を両輪とする科学的営みに加わりたいと思っていました。私には、原子核物理学において、そのサイクルが一番よく実行されているように感じられて、原子核物理学に進もうと決意しました。

研究そのものの楽しさがやりがいと言えると思っています。色々なことを考え、共同研究者と議論し、新しい科学的発見を重ねていくプロセスそのものが何より楽しいことです。そして、自分達が理論的に考えたことについて、実験的に検証してもらい、実際に正しいことが確認されたときの喜びは何者にも代えがたいものだと感じています。私もそれほど経験のあることではありませんが、それを目指してこれからも研究をしたいと思っています。

シンプルな模型を開発し、それを利用して新奇な構造を発見したり、既知の構造の新しい側面を明らかにしたりしたいと思っています。模型の精密化は、計算量に気にしなければ、ある意味簡単ですが、本質を捉えた模型を構築するのは非常に優れた物理センスが必要です。また、優秀で信頼できる共同研究者たちとの協力も不可欠です。そのような研究を一つでも多く成し遂げ、原子核物理学の面白さや奥深さを思う存分味わっていきたいと思っています。

原子核を構成する基本粒子は陽子と中性子のわずか2種類ですが、その2種類の粒子が非常に多様な世界を作る不思議さが原子核物理学の最大の魅力です。特に私が研究テーマとしているクラスター構造のように、わずかな励起エネルギーで、原子核の中でサブシステムが構成される状態の存在が原子核の多様性をより豊かにしていると感じます。実際に計算してみたときに、思いもよらなかったような構造が現れ、その発現機構を調べているときは非常にワクワクします。

これから原子核物理学を目指す学生のみなさんにも、ぜひこのワクワクを味わってもらい、共同研究を行うことができたら、とても嬉しいと思います。


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