HOME > 研究最前線 > 明日を創る若手研究者(谷村 雄介)

東北大学

谷村 雄介

Yusuke Tanimura

主な経歴

2009年3月

 東北大学理学部物理学科 卒業

2011年3月

 東北大学大学院理学研究科物理学専攻 修士課程修了

2014年9月

 東北大学大学院理学研究科物理学専攻 博士課程修了

2014年10月ー2016年11月

IPN Orsay (フランス) ポスドク研究員

2016年12月ー2017年3月

GSI (ドイツ) ポスドク研究員

2017年4月ー現在

東北大学 助教

微視的理論による原子核構造・反応の研究

中学生のころから宇宙や素粒子に興味を持ち、ブルーバックスなど一般向けの科学書をよく読んでいました。日常生活で触れる現象とはかけ離れた世界のことを知り、あれこれ考えを巡らせるのが楽しい性格なのだと思います。大学の理学部物理学科で学ぶ中で、原子核物理に興味を惹かれるようになりました。

原子核は陽子と中性子という2種類のフェルミオンで構成されています。そして、核子間にはたらく強い相互作用は核子の種類やスピンの向きに強く依存します。さらに、弱い相互作用や陽子間の電磁相互作用も、原子核の崩壊や反応過程でそれぞれ重要な役割を果たします。これらの性質のために、原子核には様々な現象が発現します。原子核のことを統一的に理解するためには、核子の自由度に基づき、核子の多体系として原子核を記述することが重要です。このように、個々の核子を系の動力学的な自由度として扱う理論を「微視的理論」とよびます。私は微視的理論を用いて原子核の構造や反応の研究を行っています。また、微視的理論で得られた情報をうまく可視化する手法についても併せて研究しています。

研究していると苦労することがいろいろあります。良いテーマを見つけたと思っても誰かが既にやっていた、手計算が難しくてうまくいかない、数値計算のプログラムのバグがなかなかとれない、などです。たくさんの文献を調べてみたり、面倒な計算をしたり、単純作業を繰り返したりと、根気よく取り組む必要があります。これらの困難を乗り越えて何か問題を解決したときや、誰もたどり着いたことがないであろう面白い結果を見たときにやりがいを感じます。また、勉強や研究の過程で新しい知識、技術、経験を身につけること自体も嬉しいものです。それが将来の研究でもまた何かの役に立つこともあります。

私の研究では、核子多体系のシュレディンガー方程式をコンピュータで数値的に解くことで原子核を調べています。肉眼には見えない原子核の世界を、自分で作ったプログラムを駆使して「可視化」するのも楽しいです。

原子核の多彩な現象を統一的に記述する方法を探求し、微視的理論の発展に貢献できればと思っています。また、微視的理論で得られた波動関数は、多数の核子の運動の様子に関する膨大な量の情報を含んでいます。波動関数に含まれる豊富な情報を最大限に活用して、上手に原子核の構造を可視化する手法も開発し、微視的理論と相補的に発展させていきたいと考えています。

原子核には、変形や回転といった多数の核子が寄与する集団的な性質や、最外殻の一粒子運動が重要となる性質、さらにはそれらの間の相互作用など、実に多様な側面があります。決して身近には感じられない世界の話ですが、物質の成り立ちの根源にかかわることの解明に挑戦することに面白さがあると思います。


© 2013 日本の原子核物理学研究  > サイトポリシー・免責事項 | 本ウェブサイトは、核物理懇談会ホームページ委員会が運営しています