Top
オンライン研究会「時間階層進化として捉える原子核反応」 †
日時 †
2020年10月8日(木) 9:30 (Zoom にて実施)
趣旨 †
古くより、原子核反応現象は、活性化する自由度の数に応じて分類される。少数の自由度のみが励起されるもの(位相の揃った核子集団励起を含む)が直接過程であり、反応系の全ての自由度が励起され尽くされるものが複合核過程である。両者の中間として位置づけられるものは前平衡過程とよばれている。
直接過程と複合核過程では、関与する状態の個性の重要性や量子性に著しい違いがあり、現象の記述に用いる理論もまた大きく異なっている。これは、原子核系のサイズを規定する単一の空間スケール(数10fm程度)で起きる現象が、反応の進行に応じてまったく異なる様相を示すことを意味している。これを、原子核系を特徴づける時間的な階層の変化と捉え、その理解を試みたいというのが、本研究会の趣旨である。
第一回となるこの会では、上記の問題に取り組む出発点として、直接過程から始まって複合核過程に至るプロセス全体を概観し、理解の現状を整理するとともに、過渡現象(時間階層の変化)の本質を理解するためのアプローチについて議論したい。
世話人 †
緒方一介(阪大RCNP: 連絡責任者), 坂口聡志(九大), 嶋達志(阪大RCNP), 萩野浩一(京大)
プログラム †
9:30- 9:45 †
趣旨説明 緒方一介(RCNP)
9:45-10:30 †
多段階反応における量子相関 嶋 達志(RCNP)
10:30-11:15 †
空間的デコヒーレンスと核反応の古典化 緒方一介(RCNP/大阪市大)
11:15-12:00 †
RCNPにおける(p,N)および(p,2N)反応におけるスピン観測量のデータについて 若狭智嗣(九大)
※スライド中の「Confidential」は、未公開のデータですが、若狭氏のご厚意でご提供いただいたものです。
公開済みのデータと比べると系統誤差は大きいので、使用にあたってはご注意ください。
13:00-13:45 †
前平衡,複合核,その崩壊過程 河野俊彦(LANL)
13:45-14:30 †
変形核整列による融合反応機構研究の可能性 坂口聡志(九大)
14:30-15:15 †
クーロン障壁近傍の核融合反応におけるエネルギー散逸の効果 時枝正明(東北大)
15:15-16:00 †
複合核反応の微視的理解に向けて 萩野浩一(京大)
16:30-17:30 †
議論