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禁止遷移

原子核の遷移において、説明するのが難しいのが禁止遷移である。パリティ禁止遷移、アイソスピン禁止E1遷移などについてメモっておきたい。12C(a,g)16Oなど。

パリティ禁止遷移

パリティ保存を破る遷移のこと。Alejandro Garcia and Ernest M. Henley, “Subatomic Physics (3rd Edition)” の p. 248 では、16O → α + 12C を例に説明あり。 12C と α の基底状態の核スピンは 0、パリティは +1 である (スピン・パリティ Jπ = 0+ と書く)。16O の励起状態から α と 12C の基底状態に崩壊する過程(α崩壊とも言う?)を考えると、16O の励起状態においてスピン・パリティ Jπ = 0+, 1-, 2+, 3-, … からの遷移 (または崩壊) が許され、Jπ = 0-, 1+, 2-, 3+, … からの遷移が禁止される。これは、パリティ保存則により許容か禁止かが決まっている。1つの核 (の状態) が2つの核 (の状態) に分解 (崩壊) する場合、基本的には角運動量とパリティが保存する必要がある。ここでは、16O が α と 12C の基底状態に分解する際、α と 12C の相対の運動の軌道角運動量 L (12C と α の相対運動 (相対距離 r) のシュレディンガー方程式を書いた時の軌道角運動量 L) も含め、16O の励起状態の核スピンが α の核スピン、 12C の核スピン、軌道角運動量 L の和になる必要がある。α の基底状態と 12C の基底状態の核スピンは 0 であるため、16O の励起状態の核スピンは L と等しくなる必要がある。このとき、α と 12C の相対運動のパリティは (-1)L であるため、パリティが (-1)L だけ変わる遷移のみ許容され、その他は禁止される。

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