E299 11月実験ミーティング 11/20 ・目的 E299はM1遷移強度クエンチングを究極的に調べ、解決することを目的とする実験。 1+(M1)遷移(ΔS=1, ΔL=0)にはΔT=0(isoscalar,IS)とΔT=1(isovector, IV)の 二種類が存在するので、実験的には両者の遷移強度を観測することがゴール。 ここでクエンチングとは、実験的に観測される遷移強度量が理論的に予測される ものより小さいこと(=足りていないこと)という意味で使われている。 ・背景 M1クエンチング(またはGTクエンチング)は、以下の二つの機構により 起こっていると考えられる ・Δ-hの結合---核子内のクォークによる励起(核子自身の励起)--- IVのみ ・2p-2hの結合---原子核内のテンサー力による(主にπに起因する)励起 --- IS IVの両方 量子力学的な制約からIS遷移ではΔ-hの結合がおこらないので IS,IVのクエンチング因子量の差から二つの機構の寄与の割合を導けると期待している。 ・これまでの結果 (図1)sd殻核のクエンチング因子が調べられているが、肝心のIS因子を 観測できていなかったため、本来のM1クエンチングの議論ができなかった。 →IS遷移は非常に弱く、観測が難しいかった。  IS、IV両方を観測できている例は、28Siと32Sのみ。(32Sは怪しい) (図2)2004-oct にE249で28Si(p,p')を測定。 これまで観測できなかった1+,IS遷移を新たにいくつか観測した。 RCNPでの高エネルギー分解能、低バックグラウンド測定なら 他の核でもIS遷移も観測できることを期待。 しかし結果はIS=0.6, IV=0.76で IS