研究会

ミューオンによる非破壊分析の可能性

考古学・文化財への応用を考える

会期:2018年11月12日(月)〜11月13日(火)

会場:大阪大学・豊中キャンパス・H701

平成30年度・大阪大学「知の共創プログラム」

連続状ミューオン非破壊物質分析が拓く分析科学の新時代

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研究会の開催趣旨

素粒子「ミューオン」を使うと、分析対象を全く破壊しないで、その物質の内部情報を調べることができます。元素組成、同位体比、化学状態の分布測定や大規模構造体の透視など、今、ミューオンを使った新しい非破壊分析技術が確立しようとしています。本研究会では、ミューオン非破壊分析の原理や特徴を紹介し、様々な分野での利用可能性を議論します。特に今回は、資料の保存が極めて重視される考古学や文化財科学資料の分析に注目します。ミューオン非破壊分析の専門家と考古学・文化財科学者が、お互いの研究目的・技術・課題を理解し合うことで、考古学・文化財科学における新しい研究の可能性を模索する場となればと考えています。
研究会では、各分野から専門家を招き、次の4つの内容について議論します。各講演者には、全く異なる分野の研究者でも理解できるようにお話し頂く予定です。

ミューオン非破壊分析の紹介

ミューオン非破壊分析に興味のあるの方々にミューオン非破壊分析の原理と現状、可能性を紹介します。大型加速器施設におけるミューオン特性X線やガンマ線を使った分析の原理をやさしく説明し、今までの測定結果などを紹介します。また、宇宙線ミューオンを使ったピラミッドや古墳、原子炉などの内部構造透視とその応用についてもご紹介します。

他の科学分析手法との比較

従来の科学分析の特徴と展望、課題などを紹介します。考古学や文化財科学で用いられてきた科学分析とその成果・課題などについて議論します。さらに、ミューオン分析と比較するために、最先端の放射光分析、中性子分析についてもご紹介します。

分析ニーズの把握

各分野の方々からの分析ニーズや知りたいことなどの意見をご紹介頂きます。考古学・文化財科学の研究を進める際に、どのような分析が必要なのか、どのような制約があるかなどの情報を集めます。従来の方法では出来ないと決めつけていた夢のような分析や難題も、新しい方法なら解決できるかもしれません。自由に議論しましょう。

何ができるかの議論

今後のミューオン非破壊分析の利用や開発に必要なこと等を議論します。ミューオン非破壊分析は実用化に向けて、踏み出したばかりの新しい手法で、まだまだいろいろな可能性を秘めています。どのような分野や目的にミューオン非破壊分析が有効なのか、どのような性能向上や開発が必要なのか、参加者全員で議論します。

プログラム

こちらよりプログラムのPDFファイルをご覧下さい。[PDF版プログラム]

講演と講演スライド

テーマ1:ミューオン非破壊分析法

  • 佐藤 朗(大阪大)、ミューオン非破壊分析の紹介 [PDF版スライド]
  • 二宮 和彦(大阪大)、ミューオン非破壊分析の原理、測定例と将来計画 [PDF版スライド]
  • 久保 謙哉(国際基督教大)、負ミューオンを使った非破壊化学分析 [PDF版スライド]
  • 河村 成肇(高エネ研)、J-PARCミュオン実験施設 [PDF版スライド]
  • 森島 邦博 (名古屋大)、ミューオン透過法による透視技術、ピラミッドなど 考古学遺跡調査への適用 [PDF版スライド]
  • 宮寺 晴夫(東芝エネルギーシステムズ)、ミューオン散乱法による3次元分析 
  • 寺田 健太郎(大阪大)、「はやぶさ2」試料の初期分析に向けたミューオン非破壊分析の現状 

テーマ2:考古学・文化財科学

  • 上田 直弥 (大阪大)、前期古墳研究の方法論 -三角縁神獣鏡とその周辺- [PDF版スライド]
  • 南 健太郎(岡山大)、考古学とミューオン非破壊分析 [PDF版スライド]
  • 廣川 守(泉屋博古館)、Spring-8における青銅器分析など 
  • 長柄 毅一(富山大)考古・文化財資料の科学分析の現状と課題 [PDF版スライド]
  • 馬淵 久夫(元東京文化財研究所)、鉛同位体比による三角縁神獣鏡の研究 [PDF版スライド][資料]
  • 田中 眞奈子(昭和女子大)、放射光と中性子の相補利用による鉄鋼文化財の非破壊分析 
  • 外山 潔(泉屋博古館)、仏像の蛍光X線分析 

テーマ3:分析技術の最先端

  • 上椙 真之(高輝度光科学研究センター)、放射光CT装置を用いた非破壊分析の現状と将来の開発 [PDF版スライド]
  • 篠原 武尚(日本原子力研究開発機構)、中性子分析の最前線 [PDF版スライド]
  • 豊田 岐聡(大阪大)、質量分析の最前線 [PDF版スライド]
  • 寺田 健太郎(大阪大)、質量分析による同位体比測定 
  • 小田 寛貴(名古屋大)、青銅器の緑青を試料とした14C年代測定の可能性 

会場案内

会場:大阪大学・豊中キャンパス・物理H棟7階・H701大会議室

最寄り駅:大阪モノレール・柴原駅

会場案内図

大阪大学・豊中キャンパスへの詳細なアクセス方法は、理学研究科のページをご覧下さい。

参加登録

本研究会は、終了いたしました。

お問い合わせ

世話人

  • 佐藤 朗 (大阪大学・大学院理学研究科・物理学専攻、世話人代表)
  • 上田 直弥 (大阪大学・埋蔵文化財調査室)
  • 寺田 健太郎 (大阪大学・大学院理学研究科・宇宙地球科学専攻)
  • 友野 大 (大阪大学・核物理研究センター)
  • 二宮 和彦 (大阪大学・大学院理学研究科・化学専攻)
  • 南 健太郎 (岡山大学・埋蔵文化財調査研究センター)

E-mail:
muana18[at]kuno-g.phys.sci.osaka-u.ac.jp