考古学・文化財への応用を考える
素粒子「ミューオン」を使うと、分析対象を全く破壊しないで、その物質の内部情報を調べることができます。元素組成、同位体比、化学状態の分布測定や大規模構造体の透視など、今、ミューオンを使った新しい非破壊分析技術が確立しようとしています。本研究会では、ミューオン非破壊分析の原理や特徴を紹介し、様々な分野での利用可能性を議論します。特に今回は、資料の保存が極めて重視される考古学や文化財科学資料の分析に注目します。ミューオン非破壊分析の専門家と考古学・文化財科学者が、お互いの研究目的・技術・課題を理解し合うことで、考古学・文化財科学における新しい研究の可能性を模索する場となればと考えています。 研究会では、各分野から専門家を招き、次の4つの内容について議論します。各講演者には、全く異なる分野の研究者でも理解できるようにお話し頂く予定です。
ミューオン非破壊分析に興味のあるの方々にミューオン非破壊分析の原理と現状、可能性を紹介します。大型加速器施設におけるミューオン特性X線やガンマ線を使った分析の原理をやさしく説明し、今までの測定結果などを紹介します。また、宇宙線ミューオンを使ったピラミッドや古墳、原子炉などの内部構造透視とその応用についてもご紹介します。
従来の科学分析の特徴と展望、課題などを紹介します。考古学や文化財科学で用いられてきた科学分析とその成果・課題などについて議論します。さらに、ミューオン分析と比較するために、最先端の放射光分析、中性子分析についてもご紹介します。
各分野の方々からの分析ニーズや知りたいことなどの意見をご紹介頂きます。考古学・文化財科学の研究を進める際に、どのような分析が必要なのか、どのような制約があるかなどの情報を集めます。従来の方法では出来ないと決めつけていた夢のような分析や難題も、新しい方法なら解決できるかもしれません。自由に議論しましょう。
今後のミューオン非破壊分析の利用や開発に必要なこと等を議論します。ミューオン非破壊分析は実用化に向けて、踏み出したばかりの新しい手法で、まだまだいろいろな可能性を秘めています。どのような分野や目的にミューオン非破壊分析が有効なのか、どのような性能向上や開発が必要なのか、参加者全員で議論します。
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本研究会は、終了いたしました。