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AMANEQ について

(執筆完了時削除 --> 執筆責任者: 洲波泥 太郎, 執筆締め切り: 2024/xx/xx)

ここでは、DAQシステムを動かす上で最低限理解しておきたい AMANEQ の概要を説明する。さらに、AMANEQ関連情報へのリンクを示す。詳しい情報は各リンクを参照のこと。

AMANEQの概要

AMANEQ は連続読み出し DAQ システムにおけるロジック信号、特に時刻情報 (TOT (Time Over Threshould) データ) を処理することを想定して開発された汎用ボードである。1 つのボードに主メザニンスロット 2 つを搭載し、ここに異なる種類のメザニンカードを装着することで、異なるアプリケーションに対応する。1 つの実験において 1 枚または複数のボードを使うことを想定しており、複数のボードを使用する場合、ボード間の時刻同期と通信のため、時刻同期・通信技術である MIKUMARI を用いる。一方、読み出しチャンネルが少なく、ボードが 1 枚で済む場合、MIKUMARI は使わず、スタンドアロンモードで運用する。AMANEQ ボード本体には、68 ピン 32 チャンネルのコネクタ (KEL製 型番: ???) 2つを搭載し、差動入力 (LVDS/ECL 入力) に対応する。メザニンカードは Low Resolution TDC (LR-TDC) 用のメザニンカードと High Resolution TDC (HR-TDC) 用のメザニンカードがあり、このメザニンカードと FPGA の Firmware を切り替えることで、LR-TDC または HR-TDC として利用可能である。LR-TDC 用のメザニンカード 2 枚を装着して用いた場合、親基板の入力 32 チャンネル x 2 ポート = 64 チャンネルと合わせて、ボード 1 枚で 128 チャンネルの入力チャンネルとなる。一方、AMANEQ を HR-TDC として用いる場合、ボード本体の入力は利用せず、HR-TDC 用のメザニンカードからの入力のみ受け付けるため、入力チャンネル数は HR-TDC 用のメザニンカードを 2 枚を装着した状態で ボード 1 枚あたり 64 チャンネルとなる。ちなみに、LR-TDC の firmware を用いる場合、メザニンカードを全く挿さない状態でも動かすことはできるはずであるが、HR-TDC firmware の場合、最低 1 枚は HR-TDC メザニンカードを装着しないと正しく動作しない。現状では、連続読み出し TDC の Firmware として LR-TDC と HR-TDC 用の 2 つが存在し、これらは TOT 情報を連続読み出しすること目的として開発されたものである。データの通信には SiTCP または SiTCP-XG が FPGA のネットワークプロセッサとして使われている。

ちなみに、これまでに販売されたボードのバージョンは 2 種類あり、バージョン 1 (GND型番: GN-2006-1) とバージョン 4 (GND型番: GN-2006-4) が存在する。バージョン 1 ではボード前面に Belle2 trigger compatible の RJ45 ポートがついているが、バージョン 4 ではこれが廃止され、代わりに MIKUMARI Link 用の SFP ポートが追加された。そのため、バージョン 1 では、ボードの小メザニンスロットに MIKUMARI Link 用の SFP ポート用小メザニンスロットを取り付け、これを用いて MIKUMARI Link 通信を行っていたが、バージョン 4 ではこの小メザニンカードを取り付ける必要はなくなり、AMANEQオンボードの SFP ポートを用いて MIKUMARI Link 通信を行う。その他、バージョン 1 とバージョン 4 の違いはハードウェア的にはないが、AMANEQ の FPGA firmware は v1 と v4 でそれぞれ異なるものを書き込む必要がある。現在 (2024年9月) 、AMANEQ 用の firmware (LR-TDC, HR-TDC, MIKUMARI Primary, MIKUMARI Hub) はすべて v1 用と v4 用が用意されている。具体的に、どのファームウェアを書き込むべきかは、ファームウェアの書き込み方法のページを参照のこと。

AMANEQ の開発では、前身の Hadron Universal Logic module (HUL) の開発で培われたノウハウが転用されており、AMANEQ は HUL の後継機という側面も持つ。ただ、HUL はトリガー型 DAQ 用に開発された一方で、AMANEQ は当初から連続読み出し DAQ を想定し、より大量のデータを処理することを念頭において開発されていることが異なる点である。AMANEQ は KEK INPS の本多良太郎ら中心となって開発された。

AMANEQ 用のファームウェアとして LR-TDC と HR-TDC という 2 つの Firmware が存在するが、これらのセットアップと運用には異なる部分があるので注意されたい。さらに、MIKUMARI の基準クロックを配布するための MIKUMARI primary firmware および基準クロックを分配するための MIKUMARI FIFO firmware が存在する。以下、相違点を挙げる。

Firmwareの種類LR-TDCHR-TDCMIKUMARI PrimaryMIKUMARI FIFO
ネットワークプロセッサーSiTCPSiTCP-XGSiTCPSiTCP
利用されるデータ通信規格1 Gbps10 Gbps1 Gbps1 Gbps
装着する光モジュールの規格 (SFP1スロット)SFPSFP+SFPSFP
Default IP アドレス192.168.10.16192.168.10.10192.168.10.16192.168.10.16
対応メザニンカードHUL MEZZANINE
DCRV2 基板
(GN-1626-1)
HUL MEZZANINE
HR-TDC 基板
(GN-1644-1)
Clock-Data Distributer
Optical (CDD-OPT) v2
(GN-2140-2)
Clock-Data Distributer
Optical (CDD-OPT) v2
(GN-2140-2)
ボード本体の入力信号規格LVDS および ECL利用不可??????
メザニンカードの入力信号規格LVDS および ECLLVDSMIKUMARI で利用MIKUMARIで利用
Additional TDC の入力信号規格 (LEMO IN1&IN2)NIM ロジック信号HR-TDC としては利用不可??????
Timing の精度 (Precision)最高で ~1 ns 程度?最高で ~30 ps 程度?LR-TDC に準じるLR-TDC に準じる
Timing の確度 (Accuracy)最高で ~1 ns 程度?最高で ~30 ps 程度?LR-TDC に準じるLR-TDC に準じる
LSB の時間~1 ns~1 psLR-TDC に準じるLR-TDC に準じる
スタンドアロンモード対応している対応している対応しない対応しない

AMANEQ のデータ通信用の光モジュールを選定する場合、LR-TDC と HR-TDC で用意するものが異なる。すなわち、光モジュールとして LR-TDC では 1 Gbps の SFP モジュールを選定し、HR-TDC では 10 Gbps の SFP+ モジュールを選定する。これは、利用しているネットワークプロセッサがそれぞれ SiTCP と SiTCP-XG と異なっているからである。また、SiTCP および SiTCP-XG ではオートネゴシエーションなどの機能が省かれているようで、光モジュールは速度固定のものを用いる方が問題が起きにくい。例えば、AMANEQ に LR-TDC のファームウェアを入れた際に、10/100/1000 Mbps のオートネゴシエーション機能搭載の SFP to RJ45 モジュール (10Gtek 10/100/1000Base-T オートネゴシエーション SFP to RJ45, https://amzn.asia/d/4kJwJq9) をデータ通信用に利用しようとしたが、通信できなかった。一方 1000 Mbps 速度固定の SFP to RJ45 モジュール (10Gtek 製 https://amzn.asia/d/4HVDD22) は問題なく利用できた。

AMANEQ の MIKUMARI Link用の光モジュールを選定する場合、1 Gbps の SFP モジュールを選定する必要がある。SFP+ モジュールでも動く可能性はあるが、検証されていない。また、MIKUMARI 用のラインは、独自のプロトコルで高精度の時刻同期を実現しているため、SFP - RJ45 変換などを噛ませ、メタル線で接続してもうまく動作しないと考えられており、光ファイバーケーブルを用いる必要がある。

MAC アドレスをデフォルトから変更したい場合は、Bee Beans Technology から SiTCP のライセンスのライセンスを購入する必要がある。一方で、閉じたネットワーク内で、デフォルトの MAC アドレスを利用できるのであれば、SiTCPのライセンス購入をしなくても利用することはできる。

AMANEQ の各ファームウェア、レジスタ設定を行うソフトウェア、さらに AMANEQ が送り出すデータフォーマットについてもその概略を次の章で説明する。

リンク

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論文

スライド

本稿執筆者

2024/xx/xx 洲波泥 太郎 (SPADI大学), 脱九 花子 (SPADI大学)
2024/xx/xx 脱九 花子 (SPADI大学)