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NumRoom02 の履歴の現在との差分(No.3)


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*図2.2 ラザフォード散乱の微分断面積 (教科書23ページ) [#fig202]

**概要 [#abst]

原子番号 Z2 の粒子に、原子番号 Z1 の粒子が運動エネルギー T で入射したときの、ラザフォード散乱の微分断面積を計算するプログラムです。
**プログラムファイル [#prog]

&ref(files/ruthscat.f,ruthscat.f); (ソースファイル)

&ref(files/rscat.cnt,rscat.cnt); (入力ファイル)

&ref(files/rscat.dat,rscat.dat); (計算結果)

&ref(files/rscat.outlist,rscat.outlist); (標準出力ファイル)

&ref(files/ruthscat.exe,ruthscat.exe); (実行形式ファイル: Windows7/10 64bit 版用)


***実験データ [#exp]

&ref(files/exp22-1.dat, 186W@24.0MeV); [4]

&ref(files/exp22-2.dat, 195Pt@27.7MeV); [5]

&ref(files/exp22-3.dat, 208Pb@23.6MeV); [5]

※文献番号は教科書のものにあわせています。文献情報は[[ページ末尾>#reference]]に記載しています。
**実行方法 [#howtorun]

実行ファイル名を ruthscat.exe とします。コマンドプロンプトあるいはターミナルで

 ruthscat.exe < rscat.cnt

とタイプして Enter キーを押せば、入力ファイル rscat.cnt の内容に従って計算が行われます。環境によっては

 ./ruthscat.exe < ./rscat.cnt

とします。正常に終了したら、0 あるいは stop 0 とターミナルに表示されます。

**入力ファイルの説明 [#input]

-L1~
表題 (C1-60)。標準出力またはターミナル上にそのまま書き出されます。C61 以降は無視されます。
-L2-L4~
プログラム中で使用するファイルを指定する部分です。
-L5~
人間用の見出しです。
-L6~
ユーザのコメント (C1-50)。C51 以降は無視されます。
-L7
Z1, Z2, T を、それぞれ 10桁の F 型実数で指定します。
-L8~
人間用の見出しです。
-L9~
計算結果を出力するファイル機番、角度の最小値、同最大値、同刻みを、それぞれ 10桁の F 型実数で指定します。角度に関する数値は、degree 単位で指定します。
-L10~
桁数を見やすくするための補助行です。

**出力の説明 [#output]

***rscat.outlist [#outlist]

標準出力ファイルです。

***rscat.dat [#dat]

左が散乱角 θ (単位: degree) で、右が微分断面積 dσ/dΩ (単位: mb/sr) です。rscat.cnt を用いて計算した結果 rscat.dat が、図2.2 の実線でプロットされているものです。

**注意点と補足 [#note]

このプログラムの構造は、第1章で使用した hsphere と基本的に同じです。hsphere の説明と共通の部分は適当に省略しています。

0° ではラザフォード散乱の微分断面積は発散します((0° 散乱における断面積の定義を見直せば発散は避けられますが、ここでは立ち入りません。教科書の付録 A を参照してください。))。プログラムでは、θ が 10^-10 よりも小さい場合には、θ = 10^-10 (単位: degree) として計算します。これは「0 の代わりに極めて小さな値を用いて発散を防ぐ」 という処理ですので、このとき、微分断面積の計算結果にはそれほど意味はありません (小さな値としてどういった数字を入れるかで答えが変わるから)。
-このプログラムの構造は、第1章で使用した hsphere と基本的に同じです。hsphere の説明と共通の部分は適当に省略しています。
-0° ではラザフォード散乱の微分断面積は発散します((0° 散乱における断面積の定義を見直せば発散は避けられますが、ここでは立ち入りません。教科書の付録 A を参照してください。))。プログラムでは、θ が 10^-10 よりも小さい場合には、θ = 10^-10 (単位: degree) として計算します。これは「0 の代わりに極めて小さな値を用いて発散を防ぐ」 という処理ですので、このとき、微分断面積の計算結果にはそれほど意味はありません (小さな値としてどういった数字を入れるかで答えが変わるから)。
**発展課題 [#exercise]

-入力パラメータを変更し、図2.2 にプロットされている破線と点線の結果を算出してください。
-公開しているプログラムでは、Z1 に負の値が代入されるとエラーになります。これと同様の処理を、Z2 と T に対しても行うようにしてください。
+入力パラメータを変更し、図2.2 にプロットされている破線と点線の結果を算出してください。~
&color(green){(2017/06/05追記)}; 実験データもあわせてプロットし、計算結果と比較しましょう。
+公開しているプログラムでは、Z1 に負の値が代入されるとエラーになります。これと同様の処理を、Z2 と T に対しても行うようにしてください。
--ところで、Z1 あるいは Z2 が負のとき、エラーとする必要はあるのでしょうか?
-教科書の式は、座標原点にある標的粒子が入射粒子よりもはるかに重い状況を想定しています。入力データに対して、この仮定が成立しているかどうかを判定する処理を追加しましょう。たとえば Z2 が Z1 の 10倍よりも小さいとき、エラーを返すように書き換えてみてください (粒子の質量を入力していないので、ここでは原子番号を質量の指標として利用します)。
-トムソンのレーズンパン模型を模倣する計算を行い、微分断面積を求めてみましょう。具体的には、次のようにします。
+教科書の式は、座標原点にある標的粒子が入射粒子よりもはるかに重い状況を想定しています。入力データに対して、この仮定が成立しているかどうかを判定する処理を追加しましょう。たとえば Z2 が Z1 の 10倍よりも小さいとき、エラーを返すように書き換えてみてください (粒子の質量を入力していないので、ここでは原子番号を質量の指標として利用します)。
+トムソンのレーズンパン模型を模倣する計算を行い、微分断面積を求めてみましょう。具体的には、次のようにします。
--標的粒子を半径 1Å の球体とし、+Z2 e の電荷 (e は電気素量) が、球全体に一様に分布しているものとする。
--衝突径数が b のとき、標的粒子の正電荷のうち、半径 b の球体の内側にあるものだけが散乱に関与するものとする。すなわち、b ごとに Z2 が変化するものとし、ラザフォードの公式において Z2 --> Z2(b) と修正する。
--標的粒子内の電子の影響は、ラザフォード散乱と同様に無視する。

**参考文献 [#reference]

[4] F. T. Baker, A. Scott, R. C. Styles, T. H. Kruse, K. Jones, and R. Suchannek, Nucl. Phys. ''A 351'', 63~
  (1981).

[5] W. Karcz, I. Kluska and Z. Sanok, Acta Phys. Pol. ''B3'', 525 (1972).

**訂正・補足等 [#correction]

***&color(red){修正}; (2017/05/14) [#corr170514]
-THMIN の入力値が正しく反映されない問題を解消しました。 
-入力ファイルサンプルのコメント内容を書き換えました(結果に影響なし)。

***&color(red){修正}; (2017/06/05) [#corr170605]
-出力ファイルで角度の最大値の表記が誤って HTMAX となっていた問題を修正しました(数値データへの影響なし)。
-計算結果のファイルで断面積の単位表記が fm^2 となっていましたが、これを mb/sr に修正しました(数値データへの影響なし)。