トップ   新規 一覧 検索 最終更新   ヘルプ   最終更新のRSS

NumRoom03 の履歴の現在との差分(No.3)


  • 追加された行はこの色です。
  • 削除された行はこの色です。
*積分を用いたラザフォード散乱の微分断面積の計算 (教科書43ページ) [#eq373]

**概要 [#abst]

原子番号 Z2 の粒子に、原子番号 Z1, 質量数(~原子量) AM1 の粒子が、運動エネルギー T で入射したときのラザフォード散乱の微分断面積を計算するプログラムです。遮蔽半径を導入した上で、数値積分によって計算を行います。

**プログラムファイル [#prog]

&ref(files/ruthscat_itg.f,ruthscat_itg.f); (ソースファイル)

&ref(files/rscatitg.cnt,rscatitg.cnt); (入力ファイル)

&ref(files/rscatitg.dat,rscatitg.dat); (計算結果)

&ref(files/rscatitg.outlist,rscatitg.outlist); (標準出力ファイル)

&ref(files/ruthscat_itg.exe,ruthscat_itg.exe); (実行形式ファイル: Windows7/10 64bit 版用)

**実行方法 [#howtorun]

実行ファイル名を ruthscat_itg.exe とします。コマンドプロンプトあるいはターミナルで

 ruthscat_itg.exe < rscatitg.cnt

とタイプして Enter キーを押せば、入力ファイル rscatitg.cnt の内容に従って計算が行われます。環境によっては

 ./ruthscat_itg.exe < ./rscatitg.cnt

とします。正常に終了したら、0 あるいは stop 0 とターミナルに表示されます。

**入力ファイルの説明 [#input]

-L1-L6~
第2章で紹介した rscat.cnt と同様です。
-L7
Z1, Z2, T, AM1 を、それぞれ 10桁の F 型実数で指定します。
-L8~
遮蔽半径 RSCR, R に関する積分の最大値 RMAX, 積分の刻み DR を、それぞれ 10桁の F 型実数で指定します。単位は全て fm です。
-L9以降
第2章で紹介した rscat.cnt と同様です。


**出力の説明 [#output]

***rscat.outlist [#outlist]

標準出力ファイルです。入力値の他に、波数 K (単位: 1/fm)を出力します。

***rscat.dat [#dat]

左が散乱角 θ (単位: degree) で、右が微分断面積 dσ/dΩ (単位: mb/sr) です。

**注意点と補足 [#note]

-遮蔽半径を導入し、積分によってラザフォード散乱の微分断面積を計算します。式(3.73)の右辺1行目の表式(を4πで割ったもの)を数値計算で求めることがプログラムの主目的です。もちろんこの積分には解析解が存在するため、実際には数値計算は必要ではありませんが、練習問題として捉えてもらえればと考えています。
-数値積分は台形公式によって求めています。~
&ref(files/trapezoid.pdf,台形公式のノート);

**発展課題 [#exercise]

-計算結果を、第2章で計算した厳密解(遮蔽半径 → ∞ の極限に相当する解析解)と比較してみましょう。
-遮蔽半径 RSCR を大きくすると、計算結果は厳密解に近づきます。では、RSCR を 10.0 (fm) に変えてみてください。結果はどのように変化しましたか? その物理的理由は何でしょうか?
+計算結果を、第2章で計算した厳密解(遮蔽半径 → ∞ の極限に相当する解析解)と比較してみましょう。
+遮蔽半径 RSCR を大きくすると、計算結果は厳密解に近づきます。では、RSCR を 10.0 (fm) に変えてみてください。結果はどのように変化しましたか? その物理的理由は何でしょうか?
//--遮蔽は主にクーロンの外側を変える処理なので、主に前方でその影響が現れます。遮蔽半径が大きくなればなるほど、影響が現れはじめる最小角度が小さくなります。
-遮蔽半径を 50.0 (fm) に変えるとどうなりますか? 結果が大きく変わったのはなぜでしょう? その理由と、対処法を考えてください。
+遮蔽半径を 50.0 (fm) に変えるとどうなりますか? 結果が大きく変わったのはなぜでしょう? その理由と、対処法を考えてください。
//--これは、被積分関数が十分減衰する前に計算を打ち切っていることに伴うエラーです。RMAX を 50 fm にすると、結果は健全なものになります。
//--遮蔽半径を導入した結果にも解析解があるので、それと比較すると、数値計算が正しくなされているかどうか判断することができるでしょう。
-積分の刻み DR の値は、どのような論理で決まっている(決めればよい)のでしょうか?
+積分の刻み DR の値は、どのような論理で決まっている(決めればよい)のでしょうか?
//--被積分関数の振動を追いかけられているかどうかがポイントです。振動を特徴づけるのは移行運動量 q で、180度で最大値 2K を取ります。波長は π/K なので、この長さで1回振動する関数を何点で追いかけているか、という見方で最適な DR を選ぶことになります。
-ラザフォードの公式には、入射粒子及び標的粒子の質量は現れません。では、入力ファイルの AM1 はどのような意味をもっているのでしょうか。
+ラザフォードの公式には、入射粒子及び標的粒子の質量は現れません。では、入力ファイルの AM1 はどのような意味をもっているのでしょうか。
//--RSCR, RMAX, DR の意味合いが変わります。
-プログラムで使用している function fitg を用いると、任意の関数について1次元の数値積分が(とりあえずは)計算できるはずです(被積分関数は自分で書き換える必要があります)。色々な関数の積分値を計算してみましょう。
+プログラムで使用している function fitg を用いると、任意の関数について1次元の数値積分が(とりあえずは)計算できるはずです(被積分関数は自分で書き換える必要があります)。色々な関数の積分値を計算してみましょう。

**訂正・補足等 [#correction]

***&color(red){修正}; (2017/06/05) [#corr170605]
-出力ファイルで角度の最大値の表記が誤って HTMAX となっていた問題を修正しました(数値データへの影響なし)。
-計算結果のファイルで断面積の単位表記が fm^2 となっていましたが、これを mb/sr に修正しました(数値データへの影響なし)。