ミュオン核物理

負ミュオンは物質中に入ると電磁相互作用によってエネルギーを失い、原子核の周囲の静電場に束縛され、最終的には原子核に捕獲されます。この最後のミュオン捕獲は弱い相互作用によって起こりますが、原子核のいベータ崩壊や軌道電子捕獲、ニュートリノ散乱などとは異なり、ミュオンの不変質量(約100MeV)に近い高い励起エネルギーを原子核に付与するため、弱い相互作用の禁止遷移によって作られる原子核の高励起状態の調査に適したプローブと言えます。
大阪大学核物理研究センターに設置されているMuSICビームラインでは、時間的に連続した高強度なミュオンが利用可能であり、超新星ニュートリノによる原子核反応や二重ベータ崩壊にかかわる原子核の情報の取得、核力の三体力成分の検証、非破壊微量分析法の開発などを進めています。