RIBF†
BigRIPS / ZeroDegree†
- BigRIPS と ZeroDegree は、Bρ-δE-TOF法によって粒子識別を行う。
- 詳細は 参考文献 に記されている。
焦点面†
- BigRIPS は F0 - F7, ZeroDegree は F8 - F11 の合計12個の焦点面がある。
- BigRIPS では主に F0 - F2 ではビームの純化、F3 - F7 ではρ-δE-TOF法で粒子識別を行う。
- ZeroDegree は全ての焦点面を使ってρ-δE-TOF法で粒子識別を行う。
- BigRIPS 焦点面 (検出器等は実験毎に入れ替わることがある)
- F0
- 生成標的
- 収束焦点面 (Achromatic Foci)
- F1
- 楔形減衰板 (Wedge)
- 分散焦点面 (Dispersive Foci)
- F3
- プラスチックシンチレータ (F3PLscint)
- ダブルPPAC*2 (F3DPPAC1, F3DPPAC2)
- 収束焦点面 (Achromatic Foci)
- F5
- ダブルPPAC*2 (F5DPPAC1, F5DPPAC2)
- 楔形減衰板 (Wedge)
- 分散焦点面 (Dispersive Foci)
- F7
- ダブルPPAC*2 (F7DPPAC1, F7DPPAC2)
- イオンチェンバー MUSIC (F7IC)
- プラスチックシンチレータ (F7PLscint)
- 収束焦点面 (Achromatic Foci)
- ZeroDegree 焦点面
- F8
- ダブルPPAC*3 (F8DPPAC1, F8DPPAC2, F8extraDPPAC)
- プラスチックシンチレータ (F8PLscint)
- 収束焦点面 (Achromatic Foci)
- ここに2次標的を置く
- F9
- ダブルPPAC*2 (F9DPPAC1, F9DPPAC2)
- 分散焦点面 (Dispersive Foci)
- F10
- ダブルPPAC*2 (F10DPPAC1, F10DPPAC2)
- 分散焦点面 (Dispersive Foci)
- F11
- ダブルPPAC*2 (F11DPPAC1, F11DPPAC2)
- プラスチックシンチレータ (F11PLscint)
- イオンチェンバー MUSIC (F11IC)
- 収束焦点面 (Achromatic Foci)
Bρ-δE-TOF法による粒子識別の概要†
- まず、2枚のプラスチックシンチレータの発光タイミングの差からTOF (Time Of Flight) を調べる -> 粒子の速度βが求まる
- イオンチェンバー(MUSIC)で、粒子通過時のエネルギー損失δEを測定 -> δE ∝ (Z/β)^2 の関係から Z が求まる
- 2つのPPACで粒子の位置、角度を測定 -> ビーム輸送行列の計算で磁気剛性率 Bρ が得られる -> A/Q ∝ Bρ/(βγ) の関係から A/Q が求まる
ビーム粒子の速度βの導出†
- TOFで求める。
- BRではF3-F7, ZDではF8-F11のプラスチックシンチレータの時間差を計測する。
- F3-F7の距離は46.566m, F8-F11は36.48m。
- 速度βは、距離/(時間 * 光速度c) によって計算できる。
ビーム粒子の原子番号 Z の導出†
- イオンチェンバー "MUSIC" でエネルギー付与(δE)を測定する。
- MUSICはBRとZDのそれぞれの終端であるF7とF11焦点面に設置されてる。
- ベーテ・ブロッホの式を簡略化するとδEは(Z/β)^2 に比例する。
- δE が E に比べて十分小さい範囲では精度良くこの近似は成立する。
- これにより測定したベータとδEからZが求まる。
ビーム粒子の質量電荷比 A/Q の導出†
- A/Q は Bρ/(βγ) に比例する。
- βγは相対論的運動学のβとγで、γはβから計算できる。
- Bρは磁気剛性率と呼ばれる量で、磁場Bと軌道半径ρの積である。磁場中での粒子の曲がりにくさを表す。
- Bは双極磁石のNMRプローブ(ホール素子より高精度)を用いた磁場の測定値を使う。
- ρは "PPAC" チェンバーで、粒子の飛跡(位置と角度)を解析して決定する。
- まず、中心軌道を通る粒子のBρをBρ0 と定義する。一般的な粒子のBρは Bρ = Bρ0 (1 + δ) で表す。δは中心軌道を通る粒子との相対差を表し、「運動量分散」と呼ばれる値である。(Bρは運動量に比例する)
- 測定区間の最初にあるPPACでの粒子位置 x, 飛来角度 a (xi, aiとする)と 終わりにあるPPACで測定した x, a (xf, afとする)をつかうと、δを計算できる。(参考修論の式3.10)
- δが求まればBρが求まる。そしてA/Qも求まる。
ビーム粒子の速度βの導出 (F5焦点面に楔形減衰板が入ってる場合)†
- F3-F7のTOFからβを求める方法は上に載せたが、F5焦点面に楔形減衰板が入ってる場合は F3-F5 と F5-F7 で速度が変わる。
- F3-F5, F5-F7それぞれのβは、F3-F7全体のTOFとF3-F5, F5-F7のBρから導出できる。
- 参考 -> 東北大 大古田さんの修論15頁
最終更新 : 令和 5年 5月 5日 (金) 22:03:50