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理研で開催されたセミナー「物理・天文のための深層学習入門」に参加しました。

以下の内容は非常に個人的な感想です。間違いなどはご指摘いただければと思います。

前々からデータ解析にも取り入れたいと思ってきましたが、自分のリソースを投入するほどには踏み込めず、一歩前で出るきっかけになればと思い出席してみました。基礎の部分からレクチャーがあり、また疑問点をぶつけることもできたので非常に有用な時間となりました。一歩前へとは行きませんが、半歩くらいは出た感じです。

深層学習(機械学習・人工知能など)はさまざまな分野で取り入れられてきています。興味深いものとしては医療分野での画像分析、治療方法の提案という応用など生命に関わる分野への導入が検討されている段階にあり、”信頼性”もなかなかのものになってきたのだろうかという感想をもっています。基礎科学研究でも深層学習の導入が進められているようで素粒子物理分野では一歩先を行っているという印象があります。

では原子核物理分野へはどのように導入していくのが良いのかといえば、まだインフラが整っていないのではないかという漠然とした不安感が拭いきれないというのが正直な気持ちです。実験データの解析では統計的処理に基づき、推定値とその誤差を導出します。深層学習も統計的手法ではありますが、導出された値が真の値の周りにどのような確率分布を持っているかということが自明ではないという気がします。

この事をセミナーの最後に質問させていただきましたが、深層学習が返す答えの確率分布を知るためには、万全の事象生成シミュレータが必要なのではないか、というなんとももどかしい結論に現時点では至っています。

天体観測における画像解析ではレアイベントを見つける非常に協力なツールになりうるということですが、原子核物理の分野でも研究を飛躍的に進めるような画期的な活用方法を見いだせればという思いです。

最後に一つ。深層学習での画像認識(画像の中の動物を識別するなど)の誤認率は層の数を増やすほど減らす事ができ、ついには人間の誤認率を下回る結果が得られるそうです。確かに”正しい”答えを返すことは重要なことですが、ひらめきやセレンディピティーは必ずしも正しいと言えないことも含まれるのではないかと思っていますし、誤解が新たな見方を与えることもあるという気がしています。自分のこどもたちと話しているとなんとなくそんな気もします。ほどほどの間違いも許して頂きたい?