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水溶性化合物を用いた標的の作成

磁気分析器を用いた高分解能実験では、薄い自立型標的が欠かせない。 しかし、アルカリ金属やハロゲンの薄い標的は簡単には作れない。 通常これらは$^{12}$Cや$^{16}$Oに比べて$Q$値が小さい。そこで、これらの 元素で構成されている有機物を補強材とすれば、アルカリ金属や ハロゲンのアイソトープに対して$Q$値の違いの分だけきれいなスペクトルが 得られるはずである。私は補強材としてポリビニールアルコール(PVA) を用い、CaCl$_2$とNa$_2$CO$_3$、K$_2$CO$_3$の薄膜を製作した。 この方法により、最終的に1-2 mg/cm$^2$の厚さの薄膜が製作でき、 $^{23}$Na、$^{35}$Cl、$^{37}$Cl、$^{39}$K、$^{41}$K に対する420 MeV の($^3$He,$t$)実験に使った。 標的でのエネルギー損失が小さいため、結果として25 keVという非常に良い 分解能が得られた。



平成15年2月12日