CANDLES


宇宙 物質の起源を探る二重ベータ崩壊

二重ベータ崩壊

「二重ベータ崩壊」は、 原子核の中で二つの中性子が、二つの電子と陽子に転換する過程です。 この時、二つの反ニュートリノも放出されます。 この「二つの反ニュートリノが放出される二重ベータ崩壊」は、 崩壊率は非常に小さいですが、標準理論の枠内で起こります。

一方、 放出された反ニュートリノがニュートリノに転換し、 吸収されてニュートリノが放出されない二重ベータ崩壊もあります。 この「ニュートリノを放出しない二重ベータ崩壊」は、 ニュートリノがマヨラナ粒子であった時に起こります。 この崩壊は、 「二つの反ニュートリノが放出される二重ベータ崩壊」よりも、 さらに崩壊率が小さいです。 そのため、測定を行なう時には、 検出器のバックグラウンドを十分に低減させる工夫を行なう必要があります。

 


CANDLES概要

design この非常にまれな崩壊を観測するためには、 次の二点が重要となります。 まず、大量の二重ベータ崩壊核を準備すること、 そしてこの二重ベータ崩壊核を低ノイズの環境で測定することです。 この二つを同時に満たすのは容易ではありません。 なぜならば、大量の二重ベータ崩壊核を準備し測定装置を大型化すると、 比例してノイズも増えるためです。

そのために我々は、まず低ノイズ測定装置を開発しました。 その後、濃縮した二重ベータ崩壊核を使用することで、 測定装置を大型化にすることなく二重ベータ崩壊核を増やす、という方法をとります。 この低ノイズ測定装置を実現するために、数多くある二重ベータ崩壊核の中で、 私たちは48カルシウムを用いています。 48カルシウムは、二重ベータ崩壊の際に放出される二つの電子のエネルギー和が、 環境放射線よりも高いため、 より低ノイズ環境での測定を行いやすいという利点があります。 本研究では、48カルシウムを含んだフッ化カルシウム(CaF2)結晶をメイン検出器とした CANDLES装置を用いて二重ベータ崩壊の測定を行います。 合わせて、濃縮度を上げた48カルシウムを生産するための装置設計建設を進めています。

こちらも参考に
これまでのCANDLES装置開発