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サイクロトロン実験施設

核物理実験研究部門のリングサイクロトロン実験施設では、サイクロトロンと呼ばれる粒子加速器により発生したビームを用いて実験を行っています。
サイクロトロンは、陽子やその他の粒子を光の速度の40〜70%のエネルギーにまで加速できます。
使用するビーム、実験装置や研究内容は多岐に渡っています。ここでは最近の研究のいくつかをピックアップして紹介します。

(1) π中間子凝縮、α粒子凝縮

大きさの決まった箱の中に物質をいくらでも詰め込めるのだろうか?光などの力を伝達する粒子(ボーズ粒子)はいくらでも詰め込むことができます。これをボーズ・アインシュタイン凝縮と呼びます。一方、私たちの体など世界を構成している物質(フェルミ粒子)は、パウリの排他律と呼ばれる法則によって詰め込める量が制限されています。ところが、物質でも2個や4個の構成要素が非常に強く結びついている場合はボーズ粒子に似た振る舞いをする場合があり、いくらでも詰め込める様になると予想されています。核物理研究センターでは、α粒子ビームを用いた実験からα粒子凝縮が起きていると思われる状態を発見しました。また、陽子ビームを用いた実験から、π中間子凝縮が中性子星と呼ばれる星の中で起きるかもしれない、ということを示すデータを得ています。

(2) 原子核の共鳴状態

原子核はナノメートルの100万分の1以下という大きさです。いったいどうやってその性質を調べるのでしょう?現代技術の粋を集めた顕微鏡でも到底見ることのできない領域です。物をハンマーで叩くと特徴的な音がしますね。音からその物質の硬さや大きさなどを推測することができます。原子核の研究でもこの方法が応用できます。原子核をエネルギーの高い粒子で叩いてやり、その反響を“聴き”ます。原子核は気体の様な液体の様な妙な物質です。うまく叩いてやれば、水滴の表面がザワザワと波打った様な状態や高速回転してひしゃげた状態を作ることもできます。いろんな状態があるので、調べたい状態にあった特徴的なハンマーを使ってやるのが効果的です。核物理研究センターでは、スピンやアイソスピンと呼ばれる特徴的なハンマーを駆使して原子核の共鳴状態を調べています。

(3) 宇宙と原子核

太陽は原子核が反応することで燃えています。地球上にある様々な元素は宇宙の創成期や星の爆発中での原子核の反応によって作られました。この様に宇宙の規模で起きている現象は原子核の現象と密接に絡んでいます。核物理研究センターでは、太陽内部や星の爆発中での反応や関係の深い反応を、加速器を用いて実験室内で起こさせることにより測定しています。超新星の爆発は観測されているのに、理論計算では爆発することを示せないといった様な現在の宇宙の問題が、原子核の研究から近い将来解明されると思われます。

(4) 応用研究

近年の半導体の高密度化から、中性子などの環境放射線による集積回路の誤動作が重大な問題となってきました。核物理研究センターでは、加速器によって作り出した中性子を用いて集積回路の動作チェック、改良を行う研究をサポートしています。また、加速ビームによる反応で自然界に存在しない元素・原子核を生成し、化学的な性質や生物・医療の研究に用いる応用研究をサポートしています。

原子核の“目”、
高分解能磁気スペクトロメータ
「グランドライデン」(左)と
大口径磁気スペクトロメータ「LAS」(右)。

ケイ素原子核の高分解能測定スペクトル。
横軸は励起エネルギーで、
光の色、音の高低に対応する。




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