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recent の履歴ソース(No.1)

#author("2023-04-13T10:49:08+09:00","default:admin","admin")
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私の周辺で取り組んでいる具体的な研究テーマをいくつかご紹介します。

*量子だるま落とし反応を用いた原子核の全貌解明 [#rcb43f6f]

原子核の豊かな構造を解明する手段として近年注目されているのが、ノックアウト反応です(図2)。これは、量子の世界におけるだるま落としにたとえられる反応で、主に高いエネルギーをもった陽子のハンマーで原子核を勢いよく振り抜き、原子核の構成要素(様々な粒子)を叩き出して捕まえます。観測した粒子の運動量分布を量子力学で分析すると、もとの原子核の中にその粒子がどのくらい存在して、どのように運動していたかがわかるのです。ごく最近、重い原子核の中にいるα粒子(4He原子核)を初めて観測した仕事がScience誌に掲載されました。

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一連のノックアウト反応研究は「おのころプロジェクト」と名付けられ、実験・理論の協力の下、推進されています。この名前は、古事記の国生み神話で日本発祥の地とされる「自凝島」からとられています(図3)。私たちのグループは、このプロジェクトで、ノックアウト反応の理論的な分析を担当しています。特に力を入れているのが、脆い粒を原子核から叩き出す反応の記述です。ガラス製のだるま落としを叩いたらどの程度ガラスは砕けるのか? また、砕けたガラスから、どうやってもとのガラスパーツの情報を引き出すのか? 量子力学的反応理論を駆使して、これらの問題に取り組んでいるところです。