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 2020年度
 飯舘村環境放射線研修

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初日と2日目に行う野外実習について概要をまとめました。現地でも説明をしますが、事前に予習をしておいて下さい。

飯舘村の居住地区と農作地の多くは除染が終了し、居住に全く支障がないほど空間線量が低下しています。 しかし、現実に住民が安心して暮らすためには、継続的に汚染状況のモニターを行うことが必要な場合があります。 我々は特に以下の点に注目し、飯舘村の方々の協力を得つつ、研究を行っています。 飯舘村環境放射線実習ではこの研究の一部として、試料の採取と放射線量の観測を実際に行ってもらいます。
  • 居住地域や農作値の多くが除染された一方、山林は除染の対象外で樹木や土壌は放射能が残ったままでいます。 今後山林や山林近傍の田畑や住宅地の使用方法を考える上で、汚染された土壌や樹木が山林の中で、あるいは山林の外に対してどのように移動するのか、しないのか、を理解することが重要です。 特に、事故直後に樹木の表面に付着した放射性元素は樹木に留まるのか、それとも移動するのか、山林の土壌に含まれる放射性物質がその土壌に育つ樹木にどれくらい吸収され、樹木内をどのように移行するのか、また、山林の土壌や樹木(の枯れ葉、枯れ枝)が山林外に流出することはないのかは、 山林に含まれる放射性同位元素の循環の主要な流れを決めることになります。
    これらを理解するためには多くの分野の専門家による多角的な研究が必要ですが、我々のグループではその一環として、除染が行われていない山林のなかで設定した試料木の葉を継続的に採取し、その葉に含まれる放射線量とその試料木が育成している土壌の放射線量を2013年度以来定点観測的に測定しています。
  • 除染が実施された田畑などにおいても、本当に土壌の放射線量が十分減少しているのか、時間と共に再び増加することはないのか、表面がきれいでも、深い場所でも除染がなされているのかは、そこで農作物を育成し、出荷を計画している農家にとっては極めて心配なことです。
    そこで、希望のあった田畑や牧場などの土壌を採取し、実際に放射線量を測定し、そこで農作物を育成することに問題がないかの判断材料としてもらっています。
    なお、これまでに、除染された田畑の土壌から、問題となる放射線量が我々の活動で測定された例はありません。
2020年度飯舘村環境放射線実習では、上で述べた目的の1,2のなかで、以下の実習を行います。
  • 実習1
    試料木の葉を採取する。
    葉は実習後に大学に持ち帰りイメージングプレートと呼ばれる放射能の空間分布を可視化する 装置(X線フィルムのようなもの)で撮影し、葉のどの部分に放射性同位元素が蓄積しているかを 分析します。また試料木の根元の土壌は別途採取してあるため、土壌の放射能との相関も分析します。
  • 実習2
    除染が十分行われていない畦道(あぜみち)の土壌を採取する。
    土壌は実習後にゲルマニウム半導体検出器と呼ばれる超高感度の放射線測定装置を使って 深さごとに放射能を測定し、土壌の放射性同位元素の分布を分析します。
    実習中にも簡易の装置を使って測定を行う予定です。
小宮地区の沼氏および庄司氏所有の山林(それぞれ便宜的に沼山、庄司山と呼ぶ)の中のあらかじめ決められた 試料木の葉を採取します。
試料木表に書かれた試料木の位置(緯度と経度)をGPS端末を利用して探し、試料木を見つけて下さい。 試料木には試料木番号を書いたピンクのリボンが結んあります。
試料木を見つけたら以下の作業を行って下さい。
  1. サンプリングシート に以下の情報を記入する。
    • 日時
    • サンプル番号[後述]
    • 採取者
    • GPSで測定した軽度と緯度
    • はかる君を用いて測定した高さ5cm及び1mでの空間線量
    • 備考 (必要がある場合)
    • 略地図
  2. 試料木の全景の写真をiPadで撮影する。
  3. 約1m及び5mの高さにある葉を採取。
  4. 試料僕の全景と葉を写真撮影し、ファイル名をサンプリングシートに記入する。
  5. 葉を押し花セットの乾燥紙にはさみ、箱に収納
  6. タグを新しいモノに交換(今年だけ)

試料木の位置情報

  1. 試料木表 ( excel / PDF )
  2. Google Map (沼山)
  3. Google Map (庄司山)

有害な動植物

山には有害な動植物がいます。例えば ウルシ の葉に直接触れるとかぶれることがあります。 その他、まむし、スズメバチ、クマバチなどにも気をつけて下さい。
採取場所の田圃に行き、あぜ道の土壌を採取する。採取する畦道は教員が指示する。
  • 全体にわたって5点ほどの採取場所を定める。
  • サンプリングシートに以下の情報を記入する。
    • 日時
    • サンプル番号[後述]
    • 記入者
    • GPSで測定した軽度と緯度
    • はかる君を用いて測定した高さ5cm及び1mでの空間線量
    • 備考 (必要がある場合)
    • 略地図
  • 各採取場所でライナー採土器を用い、30cmの土壌試料を採取する。
    ライナーサイド器の使用方法は現地で担当教員が指示する。
サンプル番号は採取場所によってコードが異なり、以下の形式で表されます。#は試料木番号で、1桁か2桁の数字です。  
場所 サンプル番号
沼山 IKNF-#-2019
庄司山 IKSF-#-2019
市澤水田 IFIF-#-2019
例えば、沼山で採取した樹木番号7番のサンプル番号は
IKNF-7-2019
ということになります。
(ちなみに、Iは飯舘, Kは小宮地区, Nは沼山, Fは秋(Fall)を表します。)

Buna
ブナ
Hachiku
淡竹
Hou
ホウ
Kaede
カエデ
Konara
コナラ
Koshiabura
コシアブラ
Momi
もみの木
Nara
ナラ
Sugi
Yamazakura
山桜
   


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〒567-0047 大阪府茨木市美穂ヶ丘10-1

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