紹介
RCNPサイクロトロン施設は共同利用/共同研究拠点として原子核科学および加速器を利用した応用研究を推進するために全国、全世界の研究者に開かれた施設です。 K140AVFサイクロトロンとK400リングサイクロトロンを擁し、スピン偏極した陽子ビームを最大400MeVまで加速できます。重イオンビームの加速も可能で、軽い領域の重イオンビームが最大100AMeVのエネルギーで得られます。 これらのイオンビームは高分解能・高強度1次ビームとして利用されるだけでなく、高速準単色中性子、白色中性子、(中性子過剰/陽子過剰な)不安定核ビーム、ミューオンビームなどの2次ビーム生成にも利用されます。 原子核物理、基礎物理、原子核工学、核化学、核医学などさまざまな分野における研究課題が国内外の大学や研究機関に所属する研究者からの研究提案に基づいて行われています。学部学生や大学院生の教育にも重点を置いており、全国の大学生・大学院生の教育・研究のための実験も実施しております。| 1962年 | 日本学術会議が核物理研究所の設置を勧告 |
| 1971年 | 大阪大学核物理研究センターが全国共同利用センターとして発足(初代センター長:山部 昌太郎) |
| 1973年 | AVFサイクロトロン(K = 140 MeV)完成 |
| 1976年 | 共同利用実験を開始 |
| 1987年 | リングサイクロトロン施設の建設開始 |
| 1991年 | リングサイクロトロン(K = 400 MeV)完成 |
| 2005年 | AVFサイクロトロン、リングサイクロトロン、ビームライン、制御系などを部分的に更新・増設 |
| 2019年 | 加速器施設の建屋・設備を改修 |
| 2020~2021年 | AVFサイクロトロンを更新 |
| 2022年 | ビームコミッショニングを実施、ビームの試験利用を開始 |
| 2023年 | 共同利用実験を本格的に再開 |
(注)上記は主な節目の概要です。詳細な技術更新・施設改修については、RCNP年報および各年度の報告書をご参照ください。
図:RCNP加速器施設の鳥瞰図(AVF・リングサイクロトロン・ビームラインを含む)
RCNP加速器施設には、2つの可変エネルギー多粒子サイクロトロンのサイクロトロンカスケードがあります。
– 140AVFサイクロトロン (1973年より稼働、2021年に更新)
– K400リングサイクロトロン (1991年より稼働)
リングサイクロトロンの最大加速エネルギーは、陽子で420MeV、重イオンで核子あたり100のMeVです。様々なイオンビームが原子核物理学、核化学やその他の学際分野での研究に利用されます。 AVFサイクロトロンは、リングサイクロトロンの入射器として使用されるほか、単独でも使用されます。
エネルギー広がり(ΔE/E)が10-4に達する超高品質ビームがRCNP加速器施設の特長です。この高品質ビームはリングサイクロトロンのフラットトップ加速システムと磁石冷却水の高度温度制御システムによって実現しています。この高品質ビームとグランドライデンスペクトログラフおよび、分散整合技術により、世界記録エネルギー分解能ΔE/ E = 5×10-5が達成されました。400 MeVの大強度陽子ビームは中性子源およびMuSICミューオン源に供給されます。重イオンビームはそのまま高品質重イオンビームとして使用する他、ENビームコースで不安定核ビームの生成に使用することもできます。
AVF サイクロトロン
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リングサイクロトロン
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