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研究内容

物質の根源である素粒子・原子核などの構造や反応過程などを微視的に超高分解能で解き明かすことのできる極めて高品質で高安定なイオンビームを生成・加速するための世界最高性能の加速器に関わる加速器・ビーム物理の研究を行っています。また、医理連携による革新的がん治療・診断を目指した次世代加速器・照射システムの開発研究などにも挑戦しています。

ビームダイナミクス

RCNPでは、サイクロトロン加速器内でのビーム粒子の運動を解析し、最適化を目的としたビームダイナミクスの研究を行っています。 加速器内の電磁場を3次元シミュレーションコードを用いて再現し、加速器内の粒子軌道・エミッタンス・位相安定性などを解析します。

HIPIS:High Intensity Polarized Ion Sourceの開発

RCNPでは偏極陽子や偏極重陽子ビームを供給するための大強度偏極イオン源(HIPIS)があります。 偏極陽子ビームの生成方法は、

になります。 偏極ビームを用いた原子核研究をさらに発展させるために、このHIPISの大強度化と偏極度の向上に取り組んでいます。

図:大強度偏極イオン源(HIPIS)の加速電極。

LaPRIS:Laser Plasma RF Ion Source の開発

レーザー照射で生成した高密度プラズマから、RF電場を用いて高効率にイオンを引き出す新型イオン源の開発を進めています。 RCNPが強みとする高分解能実験には、高品質なビーム供給が不可欠です。 LaPRISは、レーザーとRF技術の融合により、既存のイオン源では実現が難しかった高品質ビームの生成を目指しています。

高温超伝導ECRイオン源の開発

高温超伝導コイルを用いた次世代ECR(Electron Cyclotron Resonance)イオン源の研究開発を進めています。 高温超伝導体(REBCOテープ)を採用することで、従来の銅コイルに比べて大幅な磁場強度の向上と省電力化が期待されます。 この新型ECRイオン源は、原子核研究だけでなく、医療用RI生成や中性子を用いた応用研究のためのビーム供給源としても期待されています。

機械学習を用いた加速器制御の高度化
加速器の運転・制御は理論計算を基盤として行われますが、実機では多数のパラメータが複雑に関係するため、最終的なビーム条件の調整には熟練者の経験と時間を要します。 RCNPでは、この最適化作業を機械学習により自動化・効率化する研究を進めています。 過去の運転データやビーム計測結果を学習させることで、ビーム電流やエミッタンスなどの性能指標を最大化するパラメータを推定し、チューニング時間の短縮と運転安定性の向上を目指しています。

CARA:Cyclotron Autoresonance Acceleration の陽子加速への応用研究

RCNPでは、Hirshfieldらによって提案された電子用 Cyclotron Autoresonance Acceleration(CARA) 手法(Phys. Rev. E 50, 3077, 1994)を、陽子加速へ応用する研究を進めています。

将来計画

現在の不安定核実験では、低強度の二次ビーム(不安定核ビーム)を標的に照射し、反応生成粒子をカロリメーターで測定する手法が一般的に用いられています。しかし、逆運動学と従来型検出器を組み合わせたこの方式では、統計精度やエネルギー分解能に限界があり、多様な不安定核の構造を高精度に探ることが困難です。 これらの課題を克服し、不安定核研究を新たな段階へと発展させるため、RCNPでは革新的な測定手法と加速器装置の開発を計画しています。その中核となるのが、RCNPの高品質ビームと高分解能磁気スペクトロメーターを活用した「順運動学による精密測定法」です。この手法により、安定核の実験に匹敵する統計量とエネルギー分解能を実現し、励起状態や核密度分布などの詳細な情報を明確に捉えることが可能になります。 この新しい測定法を実現するために、1 GeV級サイクロトロン加速器による順運動学測定システムおよび、高強度サイクロトロン加速器による不安定核生成装置の開発を進めています。これにより、RCNPにおける原子核研究は、世界的にも独自の高精度測定プラットフォームとして発展することが期待されます。

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大阪大学

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