2021年度修了証授与式

 

CREPEを修了して
                                                                                                     人間科学部共生社会論       大原理彩子
1. はじめに
文系出身の私が大学に入って放射線について一から学び、CREPE修了に至るまでの3年間を振り返る。 私が放射線教育に興味を持つきっかけとなったのは、大学1年生の時に受講していた学問への扉「福島県の環境放射線を考える」である。この授業では、毎回コメントシートの提出があったが、授業についていくのに必死で、コメントを書くのは容易いことではなかった。しかし、どんなに的外れなことや初歩的な質問を書いても必ず次の授業までには先生方から返答を頂き、わからないことを「わからない」と安心して言える環境だと感じた。そうしたやり取りをするうちに、授業の中でわかることが徐々に増え、全く関わったことのない分野でも、順を追って学べば理解できるようになるという楽しさを知った。
2. 転機となった飯舘研修
大学1年生の秋、初めて飯舘村環境放射線研修会(現:福島県浜通り地区環境放射線研修会。以下、「研修会」)に参加した。研修会参加に反対する母親の説得、様々な専門分野・学年の学生と毎晩行った議論、村で出会った人々の言葉は、福島復興に関わる理由を考える大きなきっかけとなった。 2年生からはチューターとして研修会に参加し、事前講義での飯舘村紹介や、実習のしおり作成などの役割を担った。1年目の学問への扉・研修会での経験から、知識や事実をただ伝えるだけでなく、興味を持って取り組んでもらうために、特に、文系学生が理系分野に対して持ちがちな苦手意識や高いハードルを下げるためにはどう話せば良いかを考えた。知識を受け取る側から伝える側へと意識が変化していった。
3. CREPEを履修した理由
私はCREPEをコミュニケーションツールのひとつと捉えている。CREPEを修了したことを話のきっかけにして、放射線教育プログラムに関心を持ってもらえる可能性があると思ったのが、CREPE履修の一番の動機である。放射線は遠い分野だと思っている人にこそ、この学ぶ機会を広めていきたい。
4. 終わりに
CREPE修了は私にとってスタート地点であると考えている。自分の言葉で福島の現状を伝え、放射線教育を広めていきたい。また、これからCREPEを履修する学生には、専門外のことであっても壁を作らず、進んで挑戦して欲しいと期待している。

お問い合わせ:irs_crepe@irs.osaka-u.ac.jp