第12回RI技術講習会「ヘリウムビームによる短寿命RI生成とガンマ線計測による核種同定」
2023年3月14, 15日に,大阪大学大阪大学核物理研究センター(RCNP)にて,RI技術講習会を開催いたしました。
(案内: 詳細, pdf版[96 KB])
この講習会には,全国より6名の方々にご参加いただきました。
|場所
講義:大阪大学核物理研究センター 本館6階 講義室2(中)
実習:大阪大学核物理研究センターAVFサイクロトロン棟およびRI棟
|講師(講演順)
- 鈴木 智和 (大阪大学 放射線科学研究基盤機構/核物理研究センター)
- 福田 光宏 (大阪大学 核物理研究センター)
- 大槻 勤 (京都大学 複合原子力科学研究所)
- 渡部 直史 (大阪大学大学院 医学系研究科)
- 池田 隼人 (東北大学 サイクロトロンラジオアイソトープセンター/電子光理学究センター)
|開催施設スタッフ
- 中野 貴志 センター長
- 福田 光宏
- 神田 浩樹
- 今教 禎
- 松井 昇大朗
|講習・実習時間割
3月14日と15日の2日間の時間割は次のとおりである。
なお,
15日は後述のとおり加速器運転を行わなかったことから,
それにあわせて内容の変更を行ったが実習時間は変更しなかった。
3/14(火)
時間 | 内容 |
09:30-10:00 | 受付・放射線登録に関する補講 |
10:00-10:30 | 開会式・オリエンテーション |
10:30-11:00 | 講義1: 短寿命RI供給PFのための許認可について |
| (大阪大学 鈴木 智和 先生) |
11:00-11:20 | (休憩) |
11:20-12:20 | 講義2:RCNP紹介 |
| (大阪大学 福田 光宏 先生) |
12:20-13:30 | (昼食休憩) |
13:30-14:40 | AVFサイクロトロン・リングサイクロトロン見学 |
14:40-15:00 | (休憩) |
15:00-16:00 | 講義3: 私のRI歴書 |
| (京都大学名誉教授 大槻 勤 先生) |
16:00-16:30 | (休憩) |
16:30-17:30 | 講義4: アスタチンを用いた標的アルファ線治療の最前線 |
| (大阪大学 渡部 直史 先生) |
18:00- | 情報交換会 |
3/15(水)
時間 | 内容 |
09:00-10:00 | 講義5: 計測と実習 |
| (東北大学 池田 隼人 先生) |
10:00-10:30 | (休憩) |
10:30-12:40 | 実習1: RI製造ビームコース見学・校正済みガンマ線源の計測 |
12:40-13:40 | (昼食休憩) |
13:40-16:50 | 実習2: データ解析・まとめ(休憩は随時) |
16:50-17:20 | 実習報告会 |
17:20-17:30 | 閉会式 |
17:30- | 散会 |
|講義・実習内容
今回の技術講習会では,4名の先生方に講義を依頼いたしました。
内容はRCNPの施設と実施している研究の紹介,RIプラットフォームを成立させるための放射線規制の法解釈の話題,核化学,福島県における放射線計測,アスタチンを利用した核医学治療など多くの分野にわたり,参加者,スタッフ,講師の間で休憩時間も含めて活発な議論が交わされました。
さらに,実習前には実習の基礎知識について講義を行いました。


実習の内容はアスタチン製造に利用しているビームコースと照射装置を使用したアルミニウムへのαビーム28.5 MeV の照射と,生成したRIのガンマ線計測による同定,RI生成反応断面積の導出といたしました。
当初の計画では3月15日の12時から10分間のαビーム照射を実施し,照射後の標的をゲルマニウム検出器によってガンマ線計測を行うこととしていました。
しかしながらAVFサイクロトロンの故障によってビーム照射ができなくなったため,2月中にテストとしてαビーム照射を行った標的のガンマ線の測定結果の解析を行うこととしました。
照射サンプルは,アルミ箔(50 µm厚,アルミニウム純度99.5%以上)をアルミ板の上流に配置したものに28.5 MeVのαビームを入射したものでした。
このセットアップは,通常のアスタチン製造の条件と同等のものであり,実際にアスタチン製造の際にはアルミニウム板(1 mm厚,純アルミニウム系合金A1050製)にビスマスを蒸着して使用します。
ガンマ線計測によって生成した核種を同定し,カウントレートより生成量を導出し,RI生成断面積およびアルミ箔とアルミ板の2点ではあるが,生成断面積の入射エネルギー依存性を導出することを目的としました。
測定器の使用実習は,チェッキングソース(Co-60とCs-137)を用いて行いました。
なお,AVFサイクロトロンが運転停止中であったために,当初予定していなかったAVFサイクロトロン本体の見学を行うことができました。




チェッキングソースのガンマ線測定,ガンマ線のスペクトルデータの解析は3名ずつの2班に分かれて実施しました。
発表会では口頭のみによる説明と解析結果を記録した表計算ソフトやグラフ化ソフトの出力画面を用いた簡単な図を提示しながら行いました。
両班ともにチェッキングソースの放射能の導出と校正値との比較,ガンマ線エネルギーおよび半減期によるアルミ箔およびアルミ板中に生成した核種の同定を行い,解析やデータ整理の役割分担や解析方法については班のメンバーで十分に議論していただきました。
様々な専門性やバックグラウンドを持った参加者が互いに協力して知識や技量を応用し,教えあいながら作業を進めておりました。
発表会を終えたのちに閉会式に移行し,修了証の授与,集合写真の撮影ののちに散会といたしました。




研修会の進行に関しまして至らぬ点もあったかと思いますが,大きな事故もなく無事に実施することができました。
ご参加頂いた皆様に感謝いたします。
2日間大変お疲れ様でした。
また今回の研修会開催におきましては関係者の皆様方に様々な点でご尽力いただき,改めて感謝いたします。
第11回RI技術講習会
2022年11月7-8日に放射性同位元素等取扱施設安全管理担当教職員研修との共催でRI技術講習会を開催しました。
(
案内
)
第10回RI技術講習会
2021年11月11-12日に放射性同位元素等取扱施設安全管理担当教職員研修との共催でRI技術講習会を開催しました。
(
案内
)
第9回RI技術講習会
2020年10月8-9日に放射性同位元素等取扱施設安全管理担当教職員研修との共催でRI技術講習会を開催しました。
(
案内
)
第8回RI技術講習会
2020年3月10-11日に大阪大学にて開催を予定しておりました当講習会は,
新型コロナウイルス感染拡大の影響により中止といたしました。
第7回RI技術講習会
2019年11月28-29日に放射性同位元素等取扱施設安全管理担当教職員研修との共催でRI技術講習会を開催しました。
(
案内
)
第6回RI技術講習会「サイクロトロンを用いたRI製造と核反応断面積の測定」
2019年2月21, 22日に,東北大学サイクロトロン・ラジオアイソトープセンターにて,RI技術講習会を開催いたしました。
(案内: 詳細, pdf版[135 KB])
この講習会には,全国より6名の方々にご参加いただきました。
|開講式
最初にCYRICの田代学 副センター長よりご挨拶をいただき,講習会が始まりました。
今回はRIの製造が実習内容でしたので,まず放射線業務従事者の教育訓練を受講していただく必要がありました。
その後,参加者同士で簡単に自己紹介していただき,簡単なガイダンスを行いました。

|施設見学
ターゲット照射室,ターゲット搬送システム,HM12サイクロトロンや本講習会で運転する930型AVFサイクロトロンおよびそのイオン源,各種放射線測定装置や実習室,医療用PET装置など,CYRICが有する施設や設備の見学を行いました。
見学中は様々な質問や感想が飛び交いました。
特に930型AVFサイクロトロン加速器や医療用PET装置は初めて目にする方がほとんどで,印象深いものとなったようです。




|照射用ターゲット作成と加速器による照射
今回の実習で用いる照射サンプルを自ら作成していただきました。あらかじめ適切なサイズに切っておいた銅箔を複数枚重ねて,ばらばらにならないようにアルミニウム箔で包んだものとしました。
また,翌日に行うターゲット取り出し作業の準備としてポリエチレンろ紙を作業スペースに貼りました。
作成したターゲットをホルダーにセットし,制御室でオペレーターの方とともに実際に照射を行いました。ターゲットの取り外しなども実際に行っていただき,被ばく低減を意識しながらすばやく作業をしてもらいました。


|特別講義
国立研究開発法人日本原子力研究開発機構の塚田和明先生に,「加速器によるRI合成と関連研究」と題した特別講義を行っていただきました。
実際にRIPFの利用者でもある塚田先生がこれまでに手がけてきたRI合成や分離,反応断面積の測定など,RIを製造するのに欠かせない広範な研究の話題を聴く非常に貴重な機会でした。
講義の後には参加者からの盛んな質疑応答がなされました。
また,この日の夜は,短寿命RI供給プラットフォームの関係者も交えた情報交換会が開かれ,参加者同士の交流を深めてもらいました。

|ターゲットの封入作業とガンマ線測定
2日目には加速器で照射したターゲットを汚染しないように小袋へ封入し,ガンマ線測定を行いました。
測定には高純度ゲルマニウム半導体検出器を用い,制御用マシンにインストールされた解析ソフトでピークの情報を読み取りました。
少し時間がかかってしまいましたが,すべての銅箔に対して情報を得ることができました。


|解析・結果の議論
ガンマ線測定の結果から生成したRIの放射能を算出し,その値をもとに核反応断面積の計算と励起関数の作成を行いました。
持参していただいたノートPCを用いて解析を行いました。
数式の扱いや表計算ソフトの操作に苦戦しつつも,励起関数を描いていきました。
出てきた結果についての考察や議論を通してRI製造をどのように行うかの理解を深めていきました。後日,測定データや資料を送ることで復習が可能なようにいたしました。

|閉講式
全ての講習を修了した参加者に渡部浩司センター長より修了証書の授与を行いました。
その後,全員で記念撮影をして,講習会を閉会いたしました。


研修会の進行に関しまして至らぬ点もあったかと思いますが,大きな事故もなく無事に実施することができました。
ご参加頂いた皆様に感謝いたします。
2日間大変お疲れ様でした。
また今回の研修会開催におきましては関係者の皆様方に様々な点でご尽力いただき,改めて感謝いたします。
第5回RI技術講習会
2018年11月29,
30日に,
放射性同位元素等取扱施設安全管理担当教職員研修との共催でRI技術講習会を開催しました。
(
案内
)
第4回RI技術講習会「加速器で製造した非密封RIの取扱」
2018年2月22,
23日に,
東北大学サイクロトロン・ラジオアイソトープセンター
(CYRIC)
にて,
第4回RI技術講習会を開催しました。
(
案内ページ
)
この講習会には,全国から11名の方々がご参加くださいました。
|開講式
最初にCYRICの谷内一彦センター長よりご挨拶をいただき,講習会が始まりました。
今回は実際に非密封RIを取り扱う実習を行うので,まず放射線業務従事者の教育訓練を受講していただく必要がありました。
その後,講習会のガイダンスを行い,参加者同士で簡単に自己紹介していただきました。
|施設見学
サイクロトロン加速器をはじめ,RI製造に用いるターゲットシャトル駆動システムや,PET装置など,CYRICが有する施設や設備の見学を行いました。
見学中は様々な質問や感想が飛び交いました。
特に930型AVFサイクロトロン加速器のような大型の装置は初めて目にする方が多く,印象深いものとなったようです。
|特別講義
CYRICの古本祥三先生に,「放射性薬剤の基礎と応用」と題した講義を行っていただきました。
フッ素18を用いたPET診断を中心とした核薬学の研究の実際を詳細に紹介していただきました。
講義の後には参加者からの盛んな質疑応答がなされました。
また,この日の夜は,短寿命RI供給プラットフォームの関係者も交えた懇親会が開かれ,参加者同士の交流を深めてもらいました。
|実験実習に向けた講義
実験実習について,詳しい講義を行いました。
実験原理や手法の説明だけでなく,汚染を防ぐためにはどのような点に気を付けて非密封RIを取り扱わなければならないのか,といったことも重点的に説明いたしました。
|実験実習
5班に分かれて実習を行いました。
実習内容は,コバルト同位体を用いたキレート化学反応と,イメージングプレートを用いた放射能の可視化です。
東北大学電子光理学研究センターの施設で製造したRIをキレート剤に反応させて,薄層クロマトグラフィーによって展開したものをイメージングプレートで検出しました。
その結果を受けて,なぜそうなったのか,またなぜ班ごとで異なる振る舞いとなったのか,などといったことについて考察・議論してまとめました。
|閉講式
全ての講習を修了した参加者に修了証書を授与し,最後に全員で記念撮影をして,講習会は終了しました。
ご参加くださった皆様,二日間お疲れ様でした。
関係者の皆様方,ご協力ありがとうございました。
第3回RI技術講習会
2017年11月9,
10日に,
放射性同位元素等取扱施設安全管理担当教職員研修との共催でRI技術講習会を開催しました。
(
案内
,
開催報告
)
第2回RI技術講習会「加速器による短寿命RIの生成とその取扱い」
2017年2月9,
10日に,
東北大学サイクロトロン・ラジオアイソトープセンターにて,
RI技術講習会を開催しました。
(
案内ページ
)
第1回RI技術講習会
2016年9月29,
30日に,
放射性同位元素等取扱施設安全管理担当教職員研修との共催でRI技術講習会を開催しました。
(
案内
)