
津田 朱琳
医学系研究科 保健学専攻
医学系研究科 保健学専攻
私は放射線治療に抵抗性を持つ乳がんに関する生物学研究を行っています。
乳がんは女性における罹患率の最も高いがんです。特に若年層に多いトリプルネガティブ乳がん(TNBC)は、再発や転移が多く生存率が低いとされています。近年、物理工学的な発展により局所制御率は向上しているものの、依然として再発を繰り返す「放射線抵抗性がん」が存在します。現在、このような放射線治療抵抗性を獲得したTNBCの再発腫瘍に対する有効な治療法は確立されていません。
そこで本研究では、TNBCの野生株(WT)に繰り返し放射線を照射することで放射線抵抗性株(Res)を樹立し、WTとResを比較することでResの特性を解明し、局所の再発腫瘍の制御に加え、がん患者の生存延長に不可欠である遠隔転移の制御をも狙える治療法の提案を目指しています。
放射線治療は手術よりも侵襲性が低く審美性の維持に優れているという利点を持ちます。この利点を活かして、将来を担う若者の乳がん患者に対する新たな治療戦略の開発は極めて高い社会的意義を有すると考えています。