概要

本プログラムは、理学、医学、情報科学の分野の学生を対象に、量子ビーム応用技術を社会実装できる人材を育成する5年一貫の博士課程教育プログラムです。国内外のトップ研究機関・企業との連携によるカリキュラムを通じて、量子ビーム応用技術を創出し豊かな健康長寿社会や安全な超スマート社会の実現を担う人材を育てることを目的としています。

未踏の量子ビーム応用を先導する

少子高齢化の急速な進展のもと、Society 5.0 のヴィジョンを掲げ、豊かな健康長寿社会、そして安全な超スマート社会を実現することは、我が国が取り組むべき喫緊の課題です。
この課題に分野の垣根を超えた取り組みで果敢に挑み、その中で新たな価値を創造していくことが、今、大学を始めとするアカデミアに求められています。
そのような状況の中で、加速器の作り出す量子ビームは、現代社会の課題解決のために様々な場面で応用されつつあります。量子ビームによって作り出される放射性同位元素 (RI) は、核医学を支え、急速に進化するガンマ線イメージング技術によるがん研究やアルファ線核医学治療に必要不可欠なものとなっています。
また、これまでは宇宙ステーションや宇宙探査衛星のような過酷な環境で動作する機器で議論されてきた宇宙線起源ソフトエラーは、モノのインターネット (IoT) の発展著しい現代において地上で用いる機器にとっても重要課題となり、量子ビームを用いた加速試験による評価と対策が急務になっています。

このように量子ビーム応用のポテンシャルは極めて高いですが、それを支え、新たな技術の創出をより発展させる人材の育成は進んでいませんでした。
本プログラムでは、主に理学・医学・情報科学の分野の学生を対象に、放射性核種・中性子・ミューオンなど多彩な量子ビームに関わる国内外の大学、機関、企業が連携して、「次世代量子ビーム応用技術の創出を先導する人材を持続的に育成すること」を目的としています。

大阪大学の強みを生かした多様な知の協奏による異分野融合の教育プログラム

大阪大学は、同一キャンパスに国内最大級の加速器と臨床研究中核病院を有しており、この利点を活かして2015年に始動した医理核連携によるアルファ線核医学治療薬の開発プロジェクトは、組織間共同研究に発展し、2017年にはJST産学共創プラットフォーム共同研究推進プログラム (OPERA) として量子アプリ共創コンソーシアム (QiSS) が発足し、企業の参画を得て、アルファ線核医学治療薬の開発が進行中です。

また、大阪大学では、2017年度からOPERA事業 (QiSS) の研究領域の一つとして、産業界と学界が連携して、集積デバイスに関する宇宙線起因ソフトエラー評価技術の確立と世界標準化に向けて取り組んでいます。
本プログラムでは、大阪大学におけるこうしたこれまでの量子ビーム応用の取り組みや、国内外の連携機関・企業などとのネットワークを活かしたカリキュラムを提供します。

これにより、本プログラムを履修する学生は、基礎から応用まで、様々な特徴を持った加速器施設で多様な分野の共同研究や海外研修に参加し、異分野融合かつ社会とつながった多彩な経験を積むことができます。

国内外の連携機関・参画企業についてはこちら