浜崎 健太

浜崎 健太
理学研究科化学専攻

核医学では放射性の金属イオンを用いたがんの治療・診断が行われている。この様な治療・診断では放射性の金属イオンをがん細胞などの標的部位に集積させる為に抗体等のがん選択性のある分子と放射性金属イオンを配位子で連結させた放射性薬剤が用いられる。

現在治療用放射性金属イオンとして90Y, 177Luなどが用いられている。また、GdはMRI の造影剤として用いられているだけでなく、Gdの安定同位体の内157Gdは熱中性子の吸収断面積が非常に大きく、中性子捕獲反応で生じるγ線や Auger 電子を治療に利用できる事から、治療と診断を同時に行う ”theranostics” への利用が期待されている。現在これらの金属イオンをキレート配位する配位子として広く用いられているものはdotaである。dotaはこれらの金属イオンと極めて安定な錯体を形成する一方、錯形成反応が遅く、反応を完結させるために加熱が必要であり、熱に弱い抗体などの利用が制限される。

そこで私は核医学での利用に向けて、イットリウム及びランタノイド系列後半の元素群と室温下で容易に錯形成反応を起こし、さらに高い安定度を持つキレート配位子の合成を目指している。

活動・成果