
北川 歩
理学研究科物理学専攻
理学研究科物理学専攻
私の専門は素粒子物理学実験で、中性K中間子の稀な崩壊を探索するKOTO実験に参加しています。
初期宇宙では物質と反物質が等量生成されますが、現在の宇宙にはほとんど物質しか存在していません。この物質と反物質の非対称性をCP対称性の破れと言い、我々の宇宙にはCP対称性を破るようなメカニズムが組み込まれているはずです。現在の素粒子物理学の理論的枠組み(標準理論)は宇宙のほとんどのことを説明することに成功しましたが、それでもいくつかの点で不十分であり、CP非対称についても完全な説明がついていません。
KOTO実験はCP対称性を破るK中間子の稀な崩壊 を探索することで、標準理論を超える新物理を探しています。この崩壊が起きる確率は300億回に1回と非常に小さく、理論的な不定性も小さいため、測定された分岐比にわずかでも理論値からの乖離があった場合、新物理の存在の証拠となります。