奥内 絢香

奥内 絢香
医学系研究科保健学専攻

放射線治療(RT)では局所制御率は高い水準を保っていますが、遠隔転移の腫瘍を制御できていないがために生存率は上昇していません。ここで、臨床上稀ではありますがアブスコパル効果という非常に興味深い現象があります。これは、放射線を当てた腫瘍だけでなく当てていない遠隔の腫瘍までも縮小するという現象のことで、免疫の関与により誘導されると考えられています。先行研究ではRT単独ではなく、RTと免疫チェックポイント阻害剤(ICI)を併用することでアブスコパル効果を誘導できることが明らかになっています。

私はいままで膵管がん皮下移植マウスモデルに対するRTとICIを併用したアブスコパル効果について研究を行っていました。膵管がんは特有の免疫環境を持つことや診断時にすでに転移している場合が多くことから、5年生存率の低いがん種となっています。

皮下移植モデルでは膵管がん特有の免疫環境を再現できていないという報告もあることから、博士後期課程においては免疫環境をより膵管がんに近づけて実験を行い、アブスコパル効果を誘導する最適な治療法の探索を行っていきたいと考えています。

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