床井 健運

床井 健運
理学研究科化学専攻

私はハロゲン族の元素のひとつであるアスタチン(At,Z=85)の基礎化学的な研究をしています。近年、α線を用いた高いがん治療効果が報告され、そのα線放出核種として211Atの利用が期待されています。しかし、Atは短寿命核種しかない放射性元素であるため、化学的性質には不明な点が多いです。Atの化学的性質の理解のため、私はAtが形成する化学結合のひとつであるハロゲン結合に着目し研究をしています。ハロゲン結合はハロゲンが形成する分子間相互作用の一つで、近年結晶工学や有機化学などで利用されています。ハロゲン結合は原子が重くなるほど強くなるため、Atは強力なハロゲン結合を形成すると予想できます。一般的に化学結合の分析は分光学的な手法を用いますが、Atは微量しか入手できないため、実験が困難であるのが現状です。私の研究は、微量でも可能なクロマトグラフィーを用いて、Atのハロゲン結合の強さを調べることを最終目標としています。

活動・成果