坂梨 公亮

坂梨 公亮
理学研究科物理学専攻

私は、原子核の特異な状態について研究しています。原子核は、陽子と中性子から構成され、全ての粒子が独立に軌道運動をするという殻模型によって良く記述することができます。その一方で、原子核の励起状態では、陽子と中性子が2個ずつ強く結合したα粒子を構成単位とするαクラスタ模型でのみ記述できる状態が存在します。例えば、炭素12原子核のホイル状態は3つのα粒子から構成され、宇宙の元素合成過程において極めて重要な役割を果たしています。さらに、このホイル状態は、全てのα粒子がボーズアインシュタイン凝縮した“α凝縮状態と呼ばれ、通常の原子核と比べて非常に低密度であることが示唆されています。原子核の新しい存在形態であるα凝縮状態が、原子核において普遍的に存在することが示されれば、低密度な原子核物質の物性の解明に繋がると期待しています。

私は、現在、機械学習を用いた新しい解析手法の開発を行っています。原子核の散乱実験では種々の原子核が放出されるため、目的の粒子を識別する必要があります。そこで、検出器からの出力信号波形が粒子によって異なることを利用した波形解析法に機械学習を適用することで、高精度、低計算コストの実現を目指しています。

活動・成果