長郷 一紀

長郷 一紀
理学研究科化学専攻

現在、私はレニウム六核クラスターという化学種の合成、発光挙動の調査およびその医学利用について研究を行っています。

 レニウム六核クラスターは、六か所のターミナル位に様々な有機物や無機物を導入することができ、発光量子収率や酸化還元電位を調整することが可能です。私の研究では、ターミナル配位子として、別の発光性の錯体ユニットを導入した新しいアイデアのクラスターを合成し、発光量子収率を向上させることを目的として研究を行っています。

 発光性の錯体をがん細胞に集積させ、光励起するとその三重項励起状態が酸素の三重項基底状態とエネルギー移動し、活性酸素種を生成して腫瘍を攻撃することが知られており、光線力学的療法として実用化されています。本研究においてはレニウム六核クラスターが生体透過性の高い光を吸収して励起されること、発光寿命が長いことなどの特性から、よりエネルギー効率の良いクラスターを開発すれば光線力学的療法に適用できるのではないかと考えています。

活動・成果