青戸 宏樹

青戸 宏樹
理学研究科化学専攻

私はがん治療薬の開発を志向した、鉛-212(Pb-212)の錯体研究をしています。

Pb-212を用いたがん治療薬では、Pb-212の放出するα線によって、低副作用・高効率ながん治療が期待されます。またPb-212の製造に大型施設を必要としないことから、国産可能な治療薬としての利用が期待されています。

Pb-212薬剤を投与した際、体内でPb-212が薬剤から脱離しないためには、薬剤がPb-212を強く保持する必要があります。現在の核医学分野では、Pb-212はキレーター配位子と呼ばれる化合物によって鉛錯体として薬剤に保持されています。しかし、鉛錯体は特徴的な構造を形成することが知られており、その構造が薬剤の安定性にどのように影響しているかを詳細に調べた例はいまだ存在しません。

そこで私は鉛錯体の特徴的な構造がどのようにして形成されるのかを明らかにすることで、構造化学的に安定な新たなキレーター配位子を設計開発し、Pb-212を用いたがん治療薬剤として適用することを目標に研究に取り組んでいます。

活動・成果