大和田 明歩

大和田 明歩
医学系研究科保健学専攻

がんの治療法の一つである、放射線治療分野の基礎研究をしています。

「細胞に放射線を照射する際に、照射方向と平行に磁場をかけると細胞生存率が低下する」といった効果が2019年に報告されました。この効果を放射線治療に活用すると、今まで重粒子線ですら治せなかった難治性腫瘍の治療効果が見られる可能性があるとともに、機器の小型化や低コスト化にもつながります。がん治療実用化に向けてメカニズム解明が必要であり、私の研究では細胞殺傷効果をもつOHラジカルが細胞率低下効果に寄与しているのではないかと仮説を立て、その仮説を検証するために産業科学研究所にて放射線照射実験を行っています。OHラジカルとは、生体内の多くを占める水分子から放射線を引き金に生成されるもので、放射線による細胞死メカニズムに大きく寄与しており、がん放射線治療にとって欠かせない役割を担っています。

さらに、実験と併行して生体内における粒子飛跡のシミュレーションも行っています。放射線治療では、目には見えない放射線の挙動を知るためのシミュレーションは重要です。本研究では、平行磁場による細胞死増加時の正確なシミュレーションを作ります。

活動・成果