
吉城 諒平
理学研究科物理学専攻
理学研究科物理学専攻
「世界を1つの法則で説明せよ」この命題は人類にとっての究極の問いです。(と少なくとも私は思っています。)これに対する現在の答えは、量子力学と重力理論この2つが基本法則だということです。ですから最後はこの2つを1つに統一しないといけません。
その試みの中で興味深い仮説が発表されました。「重力理論とは、実は1つ次元を低くした量子論と等価である」という仮説です。これを「ゲージ重力対応」と言います。この仮説は様々な状況証拠から正しいと信じられていますが、そもそもなぜこの意味不明な対応関係が生じるのかというのは分かっていません。この基礎原理が分かれば、世界を1つの法則で説明できると期待されており、私も非常に興味があります。
さらにこの対応関係は幅広く応用されています。私が特に注目するのは量子誤り訂正との関係です。量子誤り訂正とは量子コンピュータの演算で生じたエラーを元に戻すことです。実は、ゲージ重力対応には誤り訂正の構造が自然に含まれているのです。私は両者の関係を研究し、ゲージ重力対応のさらなる理解を目指しています。またその中で、新しい誤り訂正の方法を見いだせないかということも期待しています。